なんてことない 普通の日だった。

ただこの日は偶然 桃先輩が遅刻して 俺一人で学校へ行くことになって

いつもと 少しだけ違う朝を スタートさせただけだった。



「あっれ〜おチビ、桃は??」

「遅刻らしいっす。また徹ゲーだって」

「またぁ?桃夜更かししすぎっ!」



一人で学校行かされて、放課後ファンタでもオゴってもらおう

そんなことを思いながら 話してた。

そう。遅れてきて グラウンド走らされて

いつもみたいにハラ減った〜って 俺の頭をぐりぐりなでる。



でも




桃先輩は来なかった。





















『来れなかった』






















「みんな!大変だ・・・桃が・・・・・・っ!!」



誰かの声が聞こえた。

誰かなんてどうでもいい。

俺の頭の中は 目の前に倒れてる桃先輩の姿しかなくて。

桃先輩はうつ伏せで 自転車のタイヤがカラカラ音を立てて鳴ってて

道には車のブレーキの跡。

車の持ち主は急いで車から降りて 桃先輩に話しかけてる。



応答はネ「。



今度は携帯でどこかへ電話して・・・





今・・・何が起きたの・・・?



俺の目の前で 何が起きたの?

























気づいたら俺は 朦朧とする意識の中

薬くさい背もたれのない硬いソファーに腰掛けてた。

ここは・・・病院・・・?





「・・・大丈夫か越前」

隣には大石先輩が座っていた。

俺の正気を確認すると 大石先輩は優しく微笑んで

俺の頭の上に手を置いた。



「よかったな、越前。桃は軽症ですんだみたいだぞ」



・・・・・・ケイショウって・・・



「ちょっと足捻っただけなんだってさ桃のヤツ〜〜」

「気絶してるからびっくりしちゃったよね」



事情を説明しながら菊丸先輩も 大丈夫だよっと背中を叩いてくれた。

その隣で不二先輩が よかったねって笑ってた。

状況を飲み込めない俺に もう心配要らないよ、と



「え・・・俺今まで何して・・・」

「覚えてないのか?」

「あ・・・ハイ」

「桃の姿見た途端 いきなり動かなくなっちゃって、その後すぐ救急車が来て、

一緒に乗り合わせてここまで来たんだ。」



桃先輩の姿を見たとたんに 俺の体は固まって動かなくなって

何が起こっているのかわからなかった。

薄い意識さえも遠のいていった。

変な映画か夢かなんかを見てると思った。





・・・でもそれは あまりにもリアルな夢で・・・





だけど、病院にいる今、

桃先輩がケガしたってこと、

それがケイショウだったってこと、

それだけは 事態を飲み込めてない俺にもわかった。

ケイショウと言われても 心配と不安は積もるばかりだった。

どんなに もう心配ないよ、と言われても自分で確認しない限り

俺の不安は消えることはなかった。



「さて、越前の調子も戻ったみたいだし 俺たちも桃のところへ行くか」

「わーい!行く行く〜!」

「タカさんと乾と海堂は、もう病室に行ってるしね」

「英二、病院なんだから静かにしてなきゃだめだぞ」



・・・早く

早く会いたい・・・





まだ少しふらふらしている体を しっかり立て直し

募る気持ちを抑えながらこの長い廊下を 先輩たちの後に小走りでついていった。























病室の前まで来て 大石先輩がゆっくりドアを開けた。

その隙間からに 楽しそうな笑い声が聞こえてきた。

桃先輩の声・・・



「桃〜〜!!こんにゃろぉ!!心配させやがって〜!」

「あっ 先輩たちも来てくれたんすか!」



桃先輩の元へ駆け寄ろうと思った俺の横を 菊丸先輩が走っていく。

そこで菊丸先輩とじゃれてるのは いつもの桃先輩の姿。

いつもの通り元気で 笑ってて 楽しそうで

ほんとに・・・もう大丈夫なんだ・・・

ほっと息をついていると とんっと不二先輩に背中を押された。

行ってきなよ と告げられ桃先輩の元へ近寄る。



「桃先輩・・・」

「・・・・・・え?」



一瞬、間をおいて 桃先輩は不思議そうな顔で 俺を見つめる。

そして周りにいる先輩たちの顔をきょろきょろと見まわした。



「なんだよ桃〜!おチビが一番心配してたんだから 何か言ってあげなよ〜!」

「え・・・なにかって」



困った顔して菊丸先輩につぶやく。







なんて顔してんの。

俺がどれだけ心配したと思ってんの・・・?







笑いかけてもくれない桃先輩の戸惑いの表情に 少し怒りがこみ上げてきて

文句の一つでもを言おうと一歩前に踏み出した瞬間



桃先輩がつぶやいた。





















「ってか、おまえ・・・・・・だれ?」



























え・・・・・・・・・



















今 なんて言ったの・・・・・・?































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