桃城「よしっ。それじゃこれから俺は兄ちゃん。こいつは姉ちゃんって呼んでいいぞ!」

俺が威勢良く越前の頭に手を置くと、越前は俺を睨み上げた。

越前「やだ!」
桃城「しょうがねぇだろ〜同じ名前なんだから名前で呼んでたらまぎらわしくてしょうがねぇっての」
越前「だからって、姉ちゃんはないでしょ!」
チビリョ「・・・お兄姉ちゃん、お姉ちゃんなの?」
越前「だーかーらー」
桃城「越前、おまえのがお兄ちゃんなんだから名前譲ってやれって〜」
越前「ムッ・・・子ども扱いするな」
桃城「じゃあ譲ってやれよ!」
越前「やだったらやだ!」

なんだか永遠に続きそうな、この会話。
越前は自分の意志を曲げないままそっぽを向く。
素直じゃない行動に俺もむっとする、そんな中・・・

チビ桃「兄ちゃんたち、仲わるいねー」
桃城・越前「「はっ?」」
チビ桃「俺とりょーまは仲いいもんな〜♪」
チビリョ「ね〜♪」

仲がいいのを見せ付けるように、二人で顔をあわせて、微笑む。

桃城「仲悪くねぇって。ほんとは兄ちゃんたちも仲いいんだぞ!」
チビ桃「うっそだ〜だって姉ちゃん怒ってるじゃん〜」
桃城「ちょっとスネてるだけだよな〜越前?」
越前「うるさいっ。触るな!」

肩をたたく俺の手を払おうと越前は手を上げる

バシッ!

えっ・・・
しかし振り下ろした腕は、
越前のすぐそばにいた、チビ越前にクリーンヒット・・・

越前「わっ!」
桃城「っっ!!!」
チビリョ「う・・うっ・・・・ううっ・・・うわああぁあああんっっ・・・っ!!!」

とびっきりの大声を出して泣き出してしまった。

桃城「だ、大丈夫かっ!?ご、ごめんな!!俺が避けたりしたから・・っ」
チビリョ「うわああぁぁんっ・・!!」
越前「ご、ごめんっ。ど、どこぶった・・?」
チビリョ「うわぁあああんっ・・っ!!!」

余りの泣きっぷりに俺と越前が同時に手を伸ばそうとすると、
ばしっと手を叩かれ、俺たちは思わず手を引っ込めた。

チビ桃「りょーまをいじめるなっっ!!!」

チビ桃の声に、シーンとなった後すぐに、チビ越前はまた大きな声で泣きながら
チビ桃にしっかりしがみ付いていた。
その後も、チビ越前はずっとチビ桃に泣き付いていた。
俺たち、立場・・ねぇ・・・・

チビ桃「りょーま?だいじょうぶか?」
チビリョ「いたいぃ・・・ひっく」
チビ桃「こんなの、すぐなおるからダイジョウブだって。な?」
チビリョ「・・うん」

ぽんぽんと頭をたたいてやると、それまでが嘘だったかのように、
チビ越前は静かになった。
・・俺、あやすのうますぎ・・・っ
内心感心して、おまえやるなぁ、と褒めてやりたかったのだが、どうもそうゆう雰囲気ではないらしい。
チビ桃はずっと越前のことを睨んでいる。

チビ桃「姉ちゃん!エチゼンにさわるのきんし!」
越前「えっ・・・」
チビ桃「フンッ」
越前「え、あ・・あの。本当、に、ごめんね」

・・・ちょっとだけだが、
本当は、俺よりもチビ俺の方が、越前の扱いうまいんじゃないかと思った。

越前「あ、あの・・・ほんとに、ごめんね・・・」
チビリョ「いいよ。もう、いたくないから。俺強いもんっ」
チビ桃「ほんとかー?」
チビリョ「うん・・・びっくりしただけっ」
チビ桃「そかー。強いなーエチゼン!」
チビリョ「うんっ」
チビ桃「痛くなったらすぐ俺にゆーんだぞ!」
チビリョ「うんっ」

また見つめあって、微笑んで・・・しかも、まだ抱き合ってて、
な、なんだ・・・
なんなんだ、この甘い空気は・・・
こ、この・・・マセガキ(俺なんだけどさぁ)

越前「桃先輩」
桃城「なんだ?」
越前「なんか・・・見せつけてくれるっすねぇ」
桃城「そうだなぁ」
越前「俺たちもこんなことしてるのかな・・・」
桃城「そりゃ、本人なんだから似たようなことしてんじゃね?」
越前「・・結構、恥ずかしいことしてたんすね・・・」
桃城「ははっ。そうかも」

微笑みあったチビたちを見ながら、なんとなく俺たちもやわらかな空気になった。
さっきの空気はどこへやら。

越前「ね、ほんとにもう大丈夫?」
チビリョ「へいきだよ!もういたくないもん」
越前「そっか。よかった」
桃城「へぇーおまえ偉いな〜もうお兄ちゃんだな!」
チビ桃「へへっ♪おれたよりにされてっから〜」

チビ桃は照れながらそう言って頭をかく。
照れたときのクセ、もうここからだったんだなぁ。なーんて。
幼少時代のアルバム見てるみたいだ。大分リアルだけどな。
チビ越前のかわいい姿も捨てがたいのだが、なんとなく自分の幼姿を目で追ってしまう。
と・・・なんだか別の視線を感じる。

じいいぃぃぃぃぃ〜・・・。

桃城「な・・・どうした?」
チビリョ「兄ちゃん、たけしに、にてる」
桃城「た、たけしっ?」
チビリョ「うん」
桃城「あ、ああ・・・チビ俺のことか・・・ってっ」

俺の顔を覗き込むように見た後、俺の膝の上にぴょんと飛び乗る。
当たり前だけど、いつも越前乗っけてるのに比べると、大分軽い。
もちろん今の越前に色気は負けるけど、幼さがさらに増して可愛い。

チビリョ「兄ちゃん、すっごいたけしににてるねー」
桃城「そ、そうかぁ?」

そりゃ、本人だからな、とも言えずに、言い訳を考えていると、
さっきよりも顔を近づけて、俺の顔を見てくる。

・・・キスするぞ、このやろ

って、違うだろ!!!!な、なに考えてんだ俺・・・こいつは子どもだぞ。
その一瞬の出来心から、俺の心の天使と悪魔が囁き始める。

馬鹿!こいつはまだどう見ても4、5才だぞ!!

こいつが顔近づけんのが悪い、チューしてやれ!

越前がすぐそこにいるんだぞ!?正気に戻れ!

ふんっ。こっちだって越前に変わりはねーじゃないか!

だあああああああああああっっっ!!!!うるせぇ!!
ど、ど、ど、ど、ど、どうする俺っ!?














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