「あぢぃ〜〜〜・・」 そりゃぁ、夏だし。 パタパタと団扇と扇風機で涼をとる。この部屋にはクーラーがない。 「越前〜〜〜あちぃ〜〜〜」 「もうそんな暑い暑い言わないでよ。こっちまで暑い」 「そんなこと言って、おまえ全然汗かいてねぇじゃねぇか」 桃先輩が暑がりなだけだと思うんだけど。 「この暑さをくらえ!」 ずしっと背中に桃先輩がのしかかってくる。 「ぐ・・重い。どいてよ」 「へっへ〜やだね」 「暑いってば」 「あーダメ、俺もうダウン」 「俺の話聞いてないでしょ」 乗っかったら余計暑いと思うんですけど・・。 桃先輩は俺がなに言っても暑い〜と唸って、俺の背中から離れない。 でも、俺も別にいやじゃないから、それ以上は何も言わなかった。 それでも、そろそろ桃先輩の重みに耐えられなくなって、体をどかしてやろうと顔を桃先輩に向けると、 いきなり、不意打ちのキスをされた。 「俺たちの場合『暑い』ってよりも『熱い』ってか」 「ハイハイ、そうですね」 「なんだよ照れんなよ〜」 「うるさい」 どうやら俺は、夏の気温より、この人にお熱らしい。 少し暑くなったこの部屋で、俺はパタパタと風をあおいだ。 |