手作りクッキー、リストバンド、マグカップ? あんたが欲しいものは、そんなんじゃないよね。 「越前、なに怒ってんだよ」 両手いっぱいにプレゼントを抱えた桃先輩を見ての感想。 とりあえず、不愉快。 「よかったっすね、桃先輩。もてもてじゃん」 「全然よくねぇよ」 「はぁ、なんで?」 「おまえがつまんなそうだから、俺も全然嬉しくねぇよ。しっかり顔に出てるぜ、越前」 それなら早くしまってよ、と見上げると、桃先輩の笑顔。 ・・何を言いたいのかすぐわかるのがなんかむかつく。 「越前からのプレゼントは?」 「さぁね」 「ま、まさかなんもねぇなんてことねぇだろうな」 「一応アルヨ」 「ほう。でなによ」 「今欲しいの?」 「今欲しい!」 ふーん、そう。 抱え込んで少し姿勢が低いし、いいか。 伸び上がって首に手を回して、戸惑っている桃先輩の唇を奪い取る。 「・・卑怯だぞ」 俺は桃先輩が一番喜ぶものあげたつもりなんだけど? 不適に笑って見ると、図星なんでしょ、言葉を返せない桃先輩。 「クッキー食ったら、おまえも食ってやる」 「いいよ、せいぜい桃先輩も俺に食われないように頑張ってね」 「望むところだぜ」 そう、一番欲しいものは、俺もあんたも二人の時間なんだから。 |