くしゅ。 今日何度目かわからないくしゃみをして、俺はまたイライラを募らせる。 朝からマスクが手放せない。 医者からもらった目薬ももうなくなりかけてる。 また病院いかなきゃ。 「ははっ。こいつらおもしれーな」 今日は桃先輩の家に避難してる。 だらだらとお笑い番組を見ながら、時間をすごす。 せっかくの春休みなんだからほんとはテニスでもしてたいけど、 寺のコートの周りは杉の木だらけで、テニスどころじゃないのが現状。 「桃先輩、どっかの窓開いてるでしょ。閉めてよ」 「あ、わりぃわりぃ。換気してたもんでよ」 急いで窓を閉めてくれるのはいいんだけど、 換気って・・・それじゃココに避難して来た意味がないんだけど。 きっとこのベットにもソファにも花粉がべったりなんだ。 そんなことを思ったら、余計鼻がむずむずしてきた。 ・・ふぁ・・・っくしょい!! 「プ・・。越前のくしゃみオヤジみたい」 「黙れ」 含み笑いをする桃先輩のわき腹を殴る。 花粉症じゃない人にこの辛さがわかってたまるもんか。 頭はぼーっとするわ、目は痒いわ、くしゃみで苦しいわで、 隣でこんなにもピンピンしてる人が信じられない。 マスクをいったん外して鼻をかむ。 むすっとしながら、膨れていると、いきなり肩を抱かれた。 「な、越前。チューしようぜ」 いきなり何を言うかと思えば・・。 そう思ったときにはすでに唇はふさがれていて、 体を引き寄せられ、深く絡めとられる。 ん・・・うう・・っっ く・・苦しい!!!! 体を突き返して、息を荒げる。 「馬鹿っ、息できない!!」 「なんだ、もう終わりか。張り合いねぇなぁ」 ・・っ わかっててわざとやったな。 にやりと勝ち誇ったように笑う桃先輩を睨みあげる。 「ほんと退屈しないな、越前って」 「フン。せいぜい日頃の憂さを晴らすがいいよ。」 「それじゃ、思う存分晴らさせてもらうぜ〜」 ドサッと音を立てて押し倒されると、 俺は再び桃先輩に唇を奪い取られた。 見てろよ、後で仕返ししてやるんだから・・・。 日頃越前は、昼寝をしてる桃先輩の鼻をつまんで口をふさいで、いじめてます。 |