「ねぇ、桃先輩はサンタさんになにお願いしたの?」 ・・・はい? 越前がマジメな顔で、そんなことを聞いてきた。 ま、まさか・・・ 「俺はもう決めてあるんすよ」 嬉しそうに、照れくさそうに、越前は笑顔になった。 やっぱり、こいつサンタさん信じてる!? か、可愛い。可愛すぎるぞ越前!! でも今ここで抱きしめちまったら、越前の夢を潰しちまう。 それぁいけねぇな、いけねぇよ。 「ねぇ、桃先輩聞いてんの?」 「あ、ああ!聞いてるぜ!」 「今年はおっきい靴下用意したから準備万端なんすよ」 「え、この前雑貨屋で選んだアレか?」 「そうそう。あれならなんでも入るでしょ」 ・・くっそーっ!かわいすぎる!! 越前、ずっとそのままのおまえでいてくれ。 あの南次郎さんが親父だから、とっくに 『俺がサンタだ』とか言われちゃってんのかと思ったのに。 あのクールな越前が、クリスマスとプレゼントの話をする時に こんなあどけない年相応の表情をするなんて。 俺は、この表情を来年も見られるようにと、言いたい気持ちを抑えた。 「で、なにお願いしたんだ?」 「秘密」 「なんでだよ〜」 「だって、ほかの人に言ったらプレゼントくれないって奈々子姉が言ってた」 奈々子さん・・・遊んだな。 「も、桃先輩・・なにニヤけてんの」 「へ?そ、そうか?」 「・・変な顔」 越前は一瞬顔をしかめたが、 俺はばれない様に必死に平常心を保った。 変なとこ疑い深いくせに、サンタクロースは信じるなんて、 やっぱり越前は可愛い。 でも俺も数年前まで信じてたんだよなぁ、なんて思ったら、 俺も結構かわいいとこあったんだなって笑えた。 「それじゃあ、靴下つるしていい子で待ってろよ〜」 「うん。」 夜更かししないで早く寝るんだぞ、と付け加え、頭をなでてやると、 越前は嬉しそうに笑った。 24日は越前の誕生日。 クリスマスプレゼントに越前が何をお願いしたのか、 楽しみがもうひとつ増えてしまった。 靴下を枕元につるす越前の姿を想像しながら、俺たちは手をつないで歩いた。 ありえないリョーマです。 |