「リョーマ、風呂入るぞー」 桃先輩のその声を聞いた途端に、俺は走り出した。 でもそれを予想していたみたいに、簡単に桃先輩に首根っこをつかまれてしまった。 「なんで?まだ昼間だよ」 「暑いだろ、だから水浴び。おまえも入るんだよ」 「やだーー」 「気持ちいぞ、俺も一緒に入るし」 俺の抗議なんか完全に無視して、桃先輩はお風呂へ向かう。 扉もぴしゃっと閉められて、逃げられない。 「平気だぜ、怖くないから」 桃先輩に抱えられて、初めて桃先輩とお風呂に入る。 「水そんな冷たくしてないし、すぐ入れるぜ」 そういいながら、ゆっくりと湯船の中に入れられる。 最初は不安で、足に水が触ってびくってなったけど、段々水に慣れてきた。 「っくあ〜!最高だぜー水風呂」 「も、桃先輩、、手離さないでね」 「ちゃんと捕まえてるから安心しろ」 そう言って抱き寄せてくれたから、俺も一息ついて、力を抜いた。 その後、桃先輩がシャンプーで体を洗ってくれて、すっかり気持ちが良くなった。 桃先輩はバスタオルで自分の体を拭きながら、俺の体も拭いてくれて、 水が全部乾いたら、いいにおいがして、毛並みもふわふわになった。 「なっ、やっぱ入ってよかっ―――」 服を着て、バスタオルを肩にかけながら髪を拭いていると、すやすやとリョーマが床で眠っていた。 言いかけた言葉を飲み込み、リョーマをソファの上へ移動させた。 出来立てのふわふわの毛並みを撫でながら、外では涼しげな風鈴の音が聞こえてきた。 |