自分が生まれた日を一緒に祝ってくれるあなたがいるから。
俺はこの日を幸せに思う。









うれしい









暗い部屋の中に、ろうそくがぽつぽつと灯されている。
ゆらゆらゆれる炎に照らされて、いつもの部屋が違う空間のように見えてくる。
瞳の中に移るオレンジ色の瞳が2つ。
俺に向かって微笑みかけた。

「消していいぞ」

ふぅーっと息を一息したら、炎はまた一揺れして消え、白く長い煙が立ち込めた。
パチっと電気が付けられる。

「改めてまた・・・誕生日おめでと越前」
「ありがと」

いつもなら桃先輩はまだデスクでパソコンとにらめっこしてるはずなのに、
ここで今は俺の誕生日を祝ってくれている。
肩で息をしている姿を見て、急いで帰ってきてくれたことがすごく嬉しくて、
その片手にはリボンのついたきれいな箱。
それを大事そうに抱えて、何が入ってるのか、俺はすぐにわかった。

「おいしそう」

たっぷりふんわりと彩られた真っ白の生クリームに、
きれいな赤いおおきなイチゴが蜜のシロップで輝いてる。
「さぁ、食おうぜ!」
「うん!」

ナイフで切り取ったケーキをほおばると、やさしい甘い香りと味。
ご飯を食べてお腹いっぱいのはずなのに、口はしにクリームをつけて、
俺も桃先輩もワンホール全部平らげた。
これからは桃先輩のことだけ大食いっていえなくなっちゃったな。

「なぁ、越前ほんとにこれでよかったのか」

少しまじめな顔になって桃先輩が言った。

「うん。これだけでいい」

誕生日プレゼントを買うから、もうすこし遅くなるって電話で言われて、
俺はケーキだけでいいって言った。
桃先輩はせっかくの二人だけの誕生日だからって渋ったけど、
最後にはあきらめて、俺の誕生日だからって俺に決めさせてくれた。

「プレゼントの代わりに、いっぱい甘えさせてもらうからいいよ」
「なんだそれ・・可愛すぎるぞ、おまえ」

クリスマスイブにはきっと街はにぎわって、
プレゼントを買うのにどれだけ時間がかかるか、だいたい想像がつく。
もしプレゼントをねだったら、今ここにきっと桃先輩はいないから。

「桃先輩、早く帰ってきてくれてありがと」
「越前も、ありがとな」

俺が両手を伸ばせば、桃先輩はすぐに抱きしめてくれた。
プレゼントも嬉しいけど、俺がほしいのは“もの”なんかじゃない。
桃先輩がこうやって一緒にいてくれること。
それが俺にとって幸せで嬉しくて、なによりのプレゼント―――































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