学年が違って、もちろんクラスも違っていた学生時代。
不安で不安で仕方なかった。
あなたが遠くへ行ってしまいそうで。
でも今はそんな不安は全部あなたが吹き飛ばしてくれた。









またね









「やっべー遅刻する!!」
「ちょっと、桃先輩ネクタイしてない!」

日曜日の次の日は、ゆったり気分が抜けなくて、ドタバタ走り回っている日常。
こんな日々にもだんだん慣れてきた。

「しかもケチャップついてる、鏡見て!カバン持って!」
「お、おう!」
「桃先輩、これお弁当!カバンは?あぁ!まだケチャップついてる!」

家の中を走り回って、カバンの中にお弁当と鏡をつっこむ。
桃先輩の顔に手を伸ばして口端をぬぐって、少しあったかいケチャップをなめた。

「桃先輩、遅刻するってば」

俺はドタドタ家を走り回って、桃先輩はその様子を玄関先で呆然と見ていた。
なんだかどっちが遅刻するんだかわからない。

「なんかさ・・越前、奥さんっぽくなったな」
「な、なに、いきなり」

桃先輩の顔が緩んで、俺の体を引き寄せた。

「あーあー、夜になるまでこれに触れねぇなんて、俺悲しい」
「・・本当に遅刻するよ」

見上げてやると、そうだなとにっこり笑われた。
何考えてんだか、この能天気屋は。

「ね、桃先輩」

いつものように唇を指で指すと、腰に腕を回されて、
もうひとつの唇が重なった。

「ん・・桃、、んっ」

なかなか離れてくれない唇はどんどん熱を持って、今度は舌が進入してくる。
朝から脳がとけそうなほどのキスをされて、足の力が抜けそうになった。

「・・・・もう、馬鹿っ!!」

必死のことで大きな胸板を突き返す。

「ごちそーさま」

ひらひらと手を振って、行ってきますと笑いながら桃先輩は玄関を出た。
ドアが閉まった後に、走り出す足音が聞こえた。

「・・桃先輩のキス魔」

熱くなった頬を両手で押さえて、俺はバタバタと家の中に入った。
さっきまで一緒に寝ていたベットにダイブして、桃先輩のパジャマを探し出す。
それをぎゅっと抱きしめながら、

「今日も、早く帰ってきてね」

そうつぶやくと、なんだか安心して今日も過ごせそうな気がした。
一人でいるのにこんなに嬉しくて、こんなに浮いたような感覚で、
朝別れるのもそんなに辛くなくなってきた。
一人でいても孤独は微塵も感じない。
だってこの家には2人の跡がたくさん残っているから。
また夜になれば2人の時間が待っているから、その時間を楽しみに、
俺は今日も1日を過ごす。































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