どんなときでもそばにいるよ。
もしあなたに何があっても。









がんばれ









いつも心待ちにしてる。そのドアが開くのを。

「ただいま」

今日はちょっと疲れた声、いつもの桃先輩の声よりいくらか低い声。
そして帰りは今日も9時過ぎ。

「おかえり」
「越前、いい子にしてたか」

玄関先で倒れこむようにして俺に抱きついてくる。
精一杯受け止めて、心配になって覗き込む。

「どうしたの」
「ちょっと仕事でドジっちゃってさ、」

2時間も怒鳴れるなんて違う意味で尊敬だよ、抜けるように桃先輩は笑ってる。
ぐったり疲れてる桃先輩。

「今日は早く寝た方がいいね」
「そうすっかなぁ」
「ご飯、食べるでしょ」
「おう、もーハラ減って死にそー」

メールで先に食べてろって言われて、今日は先に食べちゃったから、
食卓について、俺はずっと桃先輩を見ていた。

「・・食いにくいんだけど?」
「気にしないで」
「気にするっての」

ぽっかり開いていた空間にあなたが戻ってきてくれるだけで、
俺はこんなにも救われてる。
桃先輩は疲れてて、今日はおかえりのキスもしてないし、
抱きしめてただいまって言われてもいないのに、
さっきまで1人で暗かった気持ちが、すぅっとどんどん消えていく。

「越前、」
「なぁに」
「ご飯終わったらさ、キスしてい?」

桃先輩のその言葉だけで、キスされてるみたいに心がとろけそうになる。
うん、と微笑むと、桃先輩の食べるスピードが急に速くなった。
そんなに早く食べると・・と言おうとした瞬間に、桃先輩がゴホゴホとむせた。

「ちょっと、桃先輩」

席を立って、広い背中をトントン叩いて撫でると、
サンキュとでも言いたそうに桃先輩が片手を上げた。
俺は顔を近づけ、桃先輩の頬に軽く口付けた。

「ゆっくり食べなきゃ駄目だよ」

クスっと笑うと、びっくりした桃先輩の頬が少し赤かった。
席に着こうとすると、俺を引き寄せた長い腕は俺をがっしりと捕まえた。

「越前、ちょっとこのまんま」

やさしく抱きしめらると、あぁ、桃先輩だって全身で感じる。
やっぱりこうしてくれないと一日は終われない。
こうやって、どれくらい時間がたっただろう。
少しの間だったかもしれないし、長い間だったかもしれない。

「ありがとな、なんか元気出た」

頭を撫でられて、俺も桃先輩から元気をもらう。
桃先輩が元気がないときは、俺がそばにいるから。
一緒にいれば、つらい事も分け合える。
一緒にいれば、幸せなときはもっと幸せになれる。
だから今はこうやって、ずっと抱きしめていて――――































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