外食はもちろん好きだけど、ふたりの家で食べるご飯は格別においしいから、もっと好き。
だってうちには俺だけのコックさんがいる。









すごいね









桃先輩は時間があるとたまに材料からこだわって料理をしてくれる。
パン粉は買ったものじゃなくて、乾燥させたパンをミキサーで砕いたり、
餃子なんか皮から作っちゃう。
キッチンを魔法みたいにくるくる動かしちゃう桃先輩はすごいと思う。

「桃先輩、これすごいおいしい」
「あぁ、隠し味入れたからな」
「なに入れたの」
「隠し味なだけに、ひみつ」

ご飯時の会話はだいたいは、おいしい料理の話。
今度は一緒に作ろうとか、隠し味は何かとか、スーパーで珍しいもの見つけたとか、
そんな話をしていると、ちょっと料理に興味が出てくる。
ただでさえ俺は、料理上手の桃先輩に材料も作り方も教わってるから、
たまには俺が、って気持ちになってくる。

「越前ももうこれくらいは作れるだろ」
「え。俺は・・こんなにおいしく作れないよ」
「そんなことねぇって。俺の手伝いしながら結構勉強してるだろ」
「だって見てるだけだもん」
「じゃあ次は分担交代してみるか」

ってことは

「俺が補佐で越前がコックさん」

俺にできるかな・・・料理。

「アドバイスとかちゃんとしてやるから」

それなら心強い。
いつも作ってるメニューくらいならレシピも作り方もなんとなく思い出せるし。
桃先輩もついていてくれるなら。
そう思うとふつふつと料理人魂が沸いてくる。

「うん。俺頑張る」
「よしよし、がんばれ」

笑顔になった桃先輩を見ながら、俺は何を作るかを頭の中で想像した。
最初だから、カレー、ハンバーグ、オムライス、簡単なものからはじめよう。
そして上手に作って、桃先輩に俺の料理食べてもらうんだ。
そしたら桃先輩も喜んでくれるから。
俺は、桃先輩の作ってくれた料理の隠し味を考えながら、
おかわりをしておなかいっぱい食べた。

























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