あやまる、ってどうすればいいの。
俺から折れたことなんてないから、こんな時どうすればいいのかわからない。









ごめんね









桃先輩は俺に背を向けたまま。
自分の気持ちを制御できなくて、桃先輩を怒らせてしまった。
どうしようの気持ちと、仲直りしたい気持ちが入り混じる。
頭が冷えてから考えると、なんて馬鹿らしいんだろうとあきれてしまう。
いっそあんなこと言う前に時間が戻せたらなんて、現実逃避までしそうになる。

「あ・・の、桃先輩」

大きな背中に向かって、仲直りの第一歩。
意地なんて、下手なプライドなんて何の意味もない。

「・・・・・ごめんなさい」

どっかりあぐらの桃先輩の背中の後ろで、俺は小さく正座をして。
桃先輩が振り向いてくれるのを願う。
それはできれば怖い顔じゃなくて、俺が好きな桃先輩の顔であって欲しい。
でももしまだ怒っていたら・・。
肩を縮めて下を向いて、小さな子どものように緊張していた。

「・・・・・・・・・・・・・・・越前のばーか」

くるりと振り向いたのに顔が上げられなくて、頭の上からそんな言葉が落ちてきた。
でもそれは俺を責めるような声じゃなくて、少しスネた子どもみたいな声で・・

桃先輩・・もう怒ってない・・?

そんな期待を込めて上を見上げると、開けた視界が一瞬でふさがれた。
包むようにして長い腕に抱きしめられた。

「こうゆう空気ニガテなんだからな、もっと早く謝ってこい。バカ」
「うん・・ごめんなさい」

条件反射のように俺も桃先輩のシャツをぎゅっと掴んだ。
終わってしまえばなんてないこと。
だけどきっとこんなすれ違いも、俺たちにとってはきっと大切なことだったんだ。
またきっとケンカしても、こうやって仲直りできるかな。
抱きしめた腕に力を込めると、頬に小さいキスが降ってきた。































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