親しければ親しいほど、感謝の気持ちは表しづらくて。
そして、素直じゃない俺にとっては顔が熱くなるほど恥ずかしいことだけど・・・









ありがとう









久しぶりのお休みの日。桃先輩も日曜日だけはいつも寝坊の常習犯。
今日は俺が先に起きて桃先輩を起こしてみよう。

「桃先輩、起きて」

わざと耳元でささやいてみる。
桃先輩は何事もなかったかのように眠り続ける。
部屋の時計は10時を指していた。
桃先輩の昨日の帰宅時間は11時。
俺が、そんなにがんばらなくてもいいのに、と言うと

『心配すんな!俺の体力知ってんだろ?まだまだ若いしなぁ、俺も』

笑いながら、俺の頭に手を置いて、ありがとなって言ったのを思い出した。
桃先輩の幸せそうな顔を見ながら、起こすのはやめてあげようと思った。

「桃先輩、いつもありがと」

起こす代わりに、いつも言えないけどいつも思っている言葉をささやく。
今日は桃先輩をゆっくり休ませてあげよう。
いつも出かけたり、俺のワガママ聞いてくれたり。
でも今日は桃先輩に思う存分ワガママ言ってもらうんだ。
そしたら桃先輩もきっと喜んでくれるよね。
だから、その瞳が開いてくれるまで俺はもうすこし待つよ。
桃先輩がどんなワガママをいってくれるかを想像しながら、俺は桃先輩の寝顔を見つめていた。
































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