血はつながっていない。 俺はこいつの生前の姿もしらねぇし、俺も自分の過去は教えてねぇ。 だけどこいつとは、血とはまた別の、強い絆があったんだ。 「恋次、起きてるか」 「あぁ」 俺たちを攻め立てるように、仲間は一人一人といなくなっていった。 残ったのは、霊力の才能があると仲間から絶賛された俺とルキアだけだった。 あの頃は霊力の才能に皆から羨ましがられたっけ。 しかし今やその霊力でさえ、空腹という重荷に姿を変え、俺たちを襲ってくる。 「腹減って眠れたもんじゃねぇよ」 「あぁ、私もだ」 「・・少し歩くか」 「そうだな」 足音というにはとても小さな音が聞こえる。 小さい足で、靴も履かずに。 それでもここではそんなことは普通の出来事で。 川が流れていた。 せせらぎの音が聞こえて、そこへ近づいた。 昼間は魚を捕ったり、上流から面白いものが流れてくるたびに、 それは俺たちの遊び道具となった。 「さすがにちょっと冷たいな」 足首までを川に沈めて、ルキアがつぶやいた。 それは、昼間腰まで浸かって、笑いながら魚と格闘するルキアとは別人に見えた。 「ルキア・・・」 「・・なんだ」 「そんな顔すんなよ」 「なにを言―――」 思わず、抱きしめた。 自分で何をしたのかわからなかった。 「どうした、恋次・・」 「・・わかんねぇ」 ただルキアを見ていたら、そうせずにはいられなかった。 「恋次こそ、そんな顔をするな・・」 俺の腕にルキアの手が触れた。 情けないな、俺。 自分でそんなことをわかっていながら、 それでも俺は腕を離すことができずにいた。 俺とルキアの過ごした時間は、長い人生に比べれば刹那。 その短い時間の中だったけれど、俺は悟ったんだ。 こいつは、俺のたった一人の・・・家族だ。 まだまだ小さくて弱い俺だけど、 俺はこいつを護らなきゃならないと思ったんだ。 きっとこいつにとっても、俺はただ一人の家族だから。 俺はこいつを護らなきゃいけないんだ。 そう、誓った―― 初恋ルキ。子供時代です。恋ルキも大好きです。 大塚愛「プラネタリウム」聴きながら書きました。 イチルキでもハグしてないのに、恋ルキでやっちまいましたw |