冬は本当に寒くてイヤだ。
でも1つだけいいことがあった。
桃先輩がやたらめったらつけてくるキスマークが、
厚着や学ランのおかげで全然目立たない。

いつもは眉をひそめてする規制を甘くして、
桃先輩の好きなままにさせてみたり・・
おかげで胸にも腕にも首筋にも跡がくっきり。

「あーーー!!」

思わず声がしたほうを向くと、着替え途中の菊丸先輩が俺を見ていた。
俺は思わず、シャツを脱ぎかけのまま止まってしまった。

「キャ〜〜おチビおチビおチビ!!キッスマ〜ックはっけ〜ん!!」

俺は焦って、脱ぎかけたシャツを着込んで隠すけど、
興味津々に近づいてきた菊丸先輩にシャツをめくり上げられた。

「くっそ〜桃の仕業だな。あのケダモノめ〜〜」
「や、やめてくださいよ」
「なんだよおチビってばvほんとは嬉しいくせにぃ〜」

嬉しい・・と言われればもちろんウソじゃない。
ふたりでいるときの桃先輩は、やさしくて・・かっこよくて。
素直になれない俺をじんわりと癒してくれて。

「おチビ顔真っ赤っかだよ〜かわいい〜〜っ」

隠せない顔のほてりを見せまいと、そっぽを向くけど、
じゃれついてきた菊丸先輩は俺を抱きしめて離さない。
く、苦しい・・・っ


「っあぁ〜〜!やっと20周終わっ・・・」

ペナルティの20周を終えて帰ってきた桃先輩の動きが一瞬止まった。

「英二先輩なにしてんすか!!」
「え〜い!おまえなんかにおチビを渡すもんかーー!!こっちくんなーー!」
「俺の越前に触んないでください!!」
「ちょ・・苦し・・っ」

菊丸先輩に加え、桃先輩までが抱きついてきた。
俺は一番下で身動きがまったく取れずにいた。

「なんの権限があって越前抱きしめてんすか!」
「桃こそー!いっっつもおチビ持ってっちゃって!俺にも貸せぇ〜い!」
「そんなんダメに決まってるでしょ!!越前は俺のなんです、ホラ」

そう言って、いつもの調子で桃先輩は俺のシャツをめくりあげた。

「ココにいーっぱい俺のだってシルシがあんでしょ」

満足げに俺の体についた跡を見せて桃先輩は勝ち誇ってる。
それを再び見せ付けられて、菊丸先輩は眉をさげた。

「あぁ・・こんなになっちゃって、イタイタしい・・おチビかわいそう(泣)」
「それにしても随分まだあと残ってんなぁv今日また新しくつけちまおっか?な、越前♪」

菊丸先輩はなみだ目で、俺の頭をぐりぐりとなでる。
そして、場所もなにもあったもんじゃない桃先輩は、俺を抱き寄せ、
シャツに手を入れ込んでくる。
俺はそれがくすぐったくて、たまらなく体をよじった。



「・・・おまえらなにをしている」

火山噴火直前の部長の声が聞こえた。

「ち、ちがうよ手塚!桃がおチビのこと襲おうとして俺が止めてたんだよ〜〜!」
「なに言ってんすか英二先輩!英二先輩だって同じようなもんじゃないっすか!」
「ねぇ、一番俺が被害者なんだけど・・」

髪はボサボサ、シャツもはだけてぐしゃぐしゃ。
なんだか一番俺がかわいそうな姿で、

「3人グラウンド30周!」
「ええぇ〜!俺今20周終わったばっか!!」
「俺走るのヤダよぉ〜〜」
「桃先輩1週間触るの禁止」
「ええぇえええ!!!無理!絶対無理!!」
「うるさい・・桃城、10周追加」

この日、桃先輩はグラウンド60周と
お触り禁止令のダブルパンチを食らった。










しまった、ワンパターンかもしれない!(危機感)








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