「っく〜!うまっそ〜」 ショートケーキひとつにこんなに喜ぶなんて、おめでたいよなぁ、桃先輩。 俺は頬杖をつきながら、ぱりっとせんべいをかじった。 「なっ、うまそうだろ!越前!」 昨日食べ損ねたケーキを冷蔵庫から出すときの桃先輩のテンションと言ったら。 というか部活の帰り道からこんな感じだっけ。 桃先輩は俺の前に座ると、ケーキを見せびらかすように俺の前に差し出した。 「そんなことより早く食べれば?」 「欲しくたってあげねぇからな」 「いらないよ、俺こっちのが好きだし」 そしてまたぱりっとせんべいをかじる。 食べ物ひとつになんでこんなに夢中なんだか。 おめでたいっていうかコドモなのかも。 俺より年上のクセに。 「なんだよ、なに笑ってんだよ」 「別に。コドモだなぁって」 「からかうなっつの」 コツンと頭を小突かれた。 からかいたくもなるよ、フォークも使わずにかぶりついて。 幼稚園生だってもっと上品に食べるよ? 「だから言ったんだよ、コドモだって」 立ち上がってかがんで、口の端のクリームをかすめとる。 んー・・ 「このクリームいまいちだね」 「バーカ、ぜいたく言うな」 む・・。 キスしてやったのに、この反応。 「っああぁあ!!越前俺のいちごを!!」 「なに」 「最後に残しといたのに!」 「残してるから嫌いなのかと思った」 「んなわけねぇだろ!つか、おまえいちご好きだっけ?」 「キライ」 「なんだそりゃ」 桃先輩のばーか。 |