誰の目にも明らかなこと。 俺と桃先輩はなにもかもが反対だっていうこと。 もちろん、それは俺だって自覚してる。 俺は桃先輩以外の人には無愛想だし、他の人はどうだっていい。 桃先輩にさえ愛されていれば俺何も要らない。 でも桃先輩はそうじゃない。 誰にだって愛想がいいし、みんなに好かれたいと思ってる。 別に俺はそれを否定しないし、そうゆうのって桃先輩らしくて俺は好き。 「おまえちょっとは愛想よくしろよなぁ」 「桃先輩の前では愛想いいと思うけど」 小悪魔のような笑みを浮かべて、目で桃先輩を誘う。 不意打ちの出来事に桃先輩が顔をほんのり赤く染める。 そんな桃先輩を見てるだけで、俺はずっとこの人と一緒にいたいと思う。 「まったくおまえは、すぐそうやって俺を惑わすんだから」 「しょうがないでしょ、好きなんだから」 ちょっと照れながら俺を頭をぐしゃぐしゃにする桃先輩に、 今度は素直に笑いかける。 「ほんとに、俺も大変なやつ好きになっちまったなぁ」 そう言って桃先輩も俺に愛しそうに笑いかけてくれる。 俺はぎゅーっと桃先輩に抱きついて、そして強く抱き返される。 桃先輩の匂いがする。 じんわりと体温がつたわってきてあったかい。 少しずつ鼓動が早くなっていく。 「大好きだぜ、越前」 耳元でささやかれて、頬にちゅっとキスをされる。 それをスイッチに鼓動がどんどん速さを増す。 桃先輩はどんな顔してそんなこと言うんだろう。 その瞬間目が合って、自分の鼓動がそのままわかるくらい、 俺の心臓は高鳴っていた。 「はぁ〜、越前抱きしめてるとすっごい落ち着くんだよな、安心する」 まるで俺を抱き枕みたいにして、目をつぶろうとする桃先輩。 俺はドキドキで今にも飛び出しそうなのに、桃先輩は穏やかに眠ろうとしてる。 やっぱり俺と桃先輩は正反対。 ちょっと悔しい。 だって、二人っきりのときは全然桃先輩に勝てないから。 でもこうしてるだけで幸せだから、そんな桃先輩が好きだから。 好きな想いをこめて、俺はそっと桃先輩にキスをした。 |