「冬はさみぃもんだ!我慢しろ!!」
「やだ」

と、自信満々に宣言した俺の言葉は、たったの2文字で却下された。

「冬といえば雪!雪といえば雪合戦!ほら行くぞ越前!」
「やーーだーー」

説得がだめなら強行突破!と、体を引っ張ってみても、
越前は布団をつかんだまま断固として動かない。
外は吸い込まれそうな銀世界。
広いこいつの家の敷地に雪がどっさりと来ればやることは決まってんだろ?

「桃先輩の子ども・・」
「なんだよ、俺は立派に子どもだぜ」
「こんなでっかい子どもいないよ」

いっそう布団の中に引き込んでしまう越前に対抗し、
俺はがらりと窓を全開にした。

「ちょっと寒いってば」

後ろから聞こえる越前の声を無視して、
俺は吹雪いて壁にくっついている雪をすくって、雪だまを作る。

「おりゃ!」
「・・ぶっ」

すかさず投げると、越前にクリーンヒット。
やべ・・怒るかな。

「桃先輩のばか!!なにすんの!!」

越前は跳ね起きて、自分と布団についている雪をはらって、
俺に向かって顔を膨らませた。
しめたとばかりに俺は、表に出てきた越前を抱きしめた。

「おまえが寒い寒い言ってかまってくれねぇからだろ」
「さみしかったの?・・ばか」

やさしく抱き返してきた越前の額に、同じようにやさしく口づけた。

「さみしかったぜ、越前布団ばっか抱きしめるからよ」
「なにそれ、ヤキモチ?」

くすくす笑う越前の額にもう一度キスをする。

「なんだよ笑うなよ」
「桃先輩ってほんと正直だね」
「かわいいだろ俺♪」
「そうゆうとこ好きだけどね」

そう言った越前の肩が震えたのがわかった。
そういや窓あけっぱなしだっけ。

「ねぇ、桃先輩寒いよ、閉めて」

あーやっぱり外に出る気はないのね(泣)
静かな銀世界を見納めてからりと窓を閉めると、背中全体があったかくなった。

「桃先輩、今日はこうしてよーよ」
「わかったよ」

寒がりのおまえのために、今日はこの部屋で雪景色を見ながら過ごそう。
暖房のスイッチを入れると、嬉しそうに越前が抱きついてきた。
つられて俺も笑顔になって、抱きしめた。



















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