だれの場所でもない、俺だけの特等席がある。
それだけはだれにも譲れない、触れて欲しくない、俺だけの場所。

「桃先輩・・・」
「ん。なんだ、起きてたのか」
「ずっと起きてるっすよ・・・」
「寝ててもいいぞ」
「いいよ。寝たら朝まで起きないよ?」
「それでもいいって」
「重いでしょ、血止まるよ?」
「んなことねーよ。俺の体はそんなヤワじゃねっての」

少しだけ目が重くなって、吸い寄せられるように桃先輩の膝に乗っかって
体をすり寄せて、目を閉じていた。
桃先輩は、何にも言わないで、頭をなでていてくれた。

ガリガリ。。
ん。
ドアを引っかく音が聞こえる。
カルピンか。
カルは決まって桃先輩がいるときに俺の部屋に来たがる。
いつも遊んでくれるから、桃先輩のことがお気に入りみたい。
ドアを引っかく音がやまないから、仕方なく、桃先輩から離れる。
しっかり立たずに、四つんばいでぺたぺたとドアに向かう。

ガチャ。
ドアを開けた途端に、するっとカルが入ってくる。

「ほあら〜」
「お〜タヌキー。よくきたな!」
「ほあら〜」

俺にしかなつかなかったのに、今やカルピンは桃先輩にベッタリ。
・・・なんだよ、俺のなのに。
むくれながら、桃先輩の元へ戻る。

「お。タヌキ、これ食うか〜?」
「ほあら〜」

カルが桃先輩の手からにぼしをもらうことが習慣になってるように、
俺が桃先輩のとなりにいることも習慣になってる。
それなのに・・・それなのに・・・っ

「ほあら〜っ!」
「ほらほら〜こっちだぜ〜!」

カルはいつも、俺から桃先輩をとっていく。
いつのまにかカルは桃先輩の膝に自然に座ってて、
桃先輩も楽しそうに笑ってる。
自分の猫にヤキモチなんてかっこわるいと思ってても
俺の眉はどんどんつりあがる。
そして、

「桃先輩は、カルのじゃないのっ!!!」

黙っていられなくなって、床に座り込んだまま、思いっきり大声を出した。
なんだよ、さっきまで俺が座ってたのに、
なんだよ、カルのためにどいたんじゃないのに。

俺の大声で、桃先輩の目が点になり、
カルはベットの影に隠れて、俺の様子をじっと見てる。

「・・・ごめんな、越前」


俺の頭をなでなでする。
目をあわせられず、下を向くことしかできない。
・・・恥ずかしい。なに言ってんだろ、俺。

「そんなヤキモチやくと思わなかった」

抱きしめられて、耳元で言われて、
ぎゅっとしがみつく。
俺、眠くて頭がおかしくなってるのかな
だって、一瞬、本当にカルに桃先輩をとられた気になったから・・・っ
桃先輩が楽しそうに笑ってたから・・・っ

「・・・っく」
「越前、ごめんな」
「ひっ・・く。」

涙腺を締めるように、ぐっと涙を堪える。

「しょうがないから・・・許してあげるっす」
「・・・サンキュ」

安心したように、そう呟いて、また俺の頭をなでてくれた。
俺は、もう離してやんない、と思いながら、桃先輩に体を預けた。

「ここは、越前だけの席だもんな」
「・・・うん」

髪の毛にちゅっとキスをされて、またぎゅうっとだきつく。

「ほあら〜」
「カルも・・・ごめんね。大っきい声出して」
「ほあらあ〜」
「なんだー?タヌキにはごめんて言うのかよ〜」

おそるおそる近寄ってきたカルピンの頭をなでてやると、
いつものように俺に擦り寄ってきた。

「だって、カルは無実だし」

仕返しに精一杯の意地悪笑顔。
そんな意地悪言っても、桃先輩は満面の笑みで、俺の頭をぐりぐりなでる。

「越前、ちゃんと聞いとけよ」
「んー?」

「ここには、タヌキもうちのチビたちも座るけどよ、ここに座った上に、キスまですんのはおまえだけだからな」

特別扱い、俺限定1名の特等席。
桃先輩、それが俺にとって、どんなにうれしいかわかる?

「当然でしょ」

最後まで、桃先輩がかっこいいなんて悔しいから、俺からキスを仕掛けてやる。
あったかい唇と、この甘い感触が・・・好き
でも、自分からなんて言えやしないから、こうやって態度で示す。

「越前、好きだぜ・・・」
「うん・・・知ってる」

だれの場所でもない、俺だけの特等席がある。
それだけはだれにも譲れない、触れて欲しくない、俺だけの場所。
今はまだ、言えないけど・・・

桃先輩・・・大好きだよ。












リョマは桃先輩スキスキ大好き。










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