っくしゅ


冷たい風を真正面から受けながら 小さいくしゃみが背中から聞こえてきた

後ろから鼻をすする音が聞こえる。


「風邪か?」

「まぁね、大したことないっすけど」


強がって鼻の頭を赤くしながら 顔を学ランの襟に埋める

身を振るわせた途端 頭の上から何が降ってきた

――と思ったら 桃城がひらひらとリョーマの前にマフラーを揺らせていた


「してな」


一応受け取ったワイン色の見慣れたマフラーには ほんのり桃城の体温が残っていた。

風は そのぬくもりも消すようにためらわずに吹き付ける


「いいよ。桃先輩が風邪ひくっすよ」

「引かねぇって」


何の根拠もないくせに


「バカだから?」

「コノヤロウ」


悪態をついてみると 桃城は首をすくめながら笑う


そこで何で笑うかな


桃先輩が壁になってくれるから風は当たらないし マフラーのおかげであったかいし


自転車こいでっからあったまってるって と言ってはいるが

桃城の耳はこの北風の冷たさで赤くなっている

リョーマは目の前の凍えている背中を抱きしめた。


「おっ あったけぇ」

「今日だけだからね」

「今日だけかよ〜」


抱きしめた背中が 自転車をこいで少し上下に動くたびに 桃城の体温がリョーマに

リョーマには桃城の体温が伝わる。


マフラーなんかよりよっぽど――


「前からしてくれたらもっとあったかいんだけど?」

「家に着いたらね」


ちいさくぽそりと呟いた。

桃城は おっしゃー! と力強くスピードをあげた





少し暖かくなった 冬の日





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□立冬記念冬ネタでした。
ヤダッ バカップル!!大好き!!
冬はいちゃいちゃのseasonですから。
王子は寒がりで 桃城は暑がり
冬生まれなのに寒がり 夏生まれなのに暑がり 変なの。
即席で10分くらいで書いたものでした。


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