「桃、越前、グラウンド20周!!」

「「えぇーーーーーーーっ!?」」

「・・・それとももっと走りたいか?」

「「走ってきます!!!!!」」



ミーティング中、うるさくしていていきなり名前を呼ばれるのはそう珍しいことじゃない。

だって・・・、なんて口答えをしようものなら、今日は何周追加されるかわからないから、

今日のところはと、二人とも大人しく教室を出て、グラウンドに向かって走り始めた。



「最近、大石先輩部長に似てきたよな」

「そうっすね。最近やたらと走らされるかも」

「でもそれもそろそろなくなると思うんだけどなー」

「なんで」

「だってもう梅雨だろ。雨降ったら走れねぇじゃん」

「あ、そうか」



この時既に、梅雨を予感させる雨雲が、空を押し下げていた。

せめて降らないうちに走ってしまおうと、さらに走るスピードを上げた。









「ところで、今何周目っすか・・・」

「はぁ?!おまえ数えてねーのかよ」

「なんで俺が。桃先輩が数えるもんでしょ。一応先輩なんだから」

「一応は余計だ!数くらい自分で数えろ」

「桃先輩こそ、自分の数くらい数えててよ」

「ったく・・・今10周目くらいかな〜」

「5周も走ってないっすよ」

「いいんだよ。こうゆうのは多めにだな」

「・・・先輩失格(ボソ)」

「なんだとー!」



ポツポツ。

ついに雨が降ってきたようだ。

これくらいならまだ走ってられると思ったが、雨はどんどん強さを増し、



「だー!もう、前見えねー!」

「いったん雨宿りします?」

「そうだな」



急いで校舎に向かって走り、

とりあえず、ミーティングしている教室に向かうが・・・



「な、なんだよ、これ」



二人を待っていたのは、薄暗い光に包まれた教室。

もはや電灯は消え、ひと気もなく、静まり返った教室だった。



「ミーティング、終わったみたいっすね」

「おいおい、こんなのありかよ〜!」



机の上には、桃城と越前のバックと、

ついでに締めておけと言わんばかりに、部室の鍵が置かれていた。



「人使い荒っ・・・」

「向こう行くまでにまた濡れるっすね」



越前の一言にぴくっと反応し、顔を見合わせる。

そして、お互い拳を固め、後ろに隠し・・・



「「ジャンケン、ぽん!!!」」



越前はチョキ。桃城はパー。



「フン〜まだまだだね」

「くっそぉ」



しぶしぶ鍵を取り、桃城が教室から出ようとすると、

「桃先輩」と名前を呼ばれ、振り返ると、ばふっと顔にタオルを投げつけられた。



「濡れるから、かぶってけば?」

「いや、いいや。タオル濡れちまうし後で拭く。おまえこそ風邪引くからちゃんと拭いとけよ?」

「・・ぶっ」



桃城は満足げに笑いながら、越前にタオルを投げ返し、部室に向かって走っていった。

















うるさい足音と声と共に、水滴をぽたぽたたらしながら桃城が帰ってきた。



「うっわ〜〜!マジ降りすぎ!!気持ちわりぃ〜〜〜。完全に梅雨入りだなこりゃ。

 越前、俺のバックからタオル出してくんね?」



越前の方へ手を伸ばすが、バックから取り出したタオルを渡そうとしない。



「こっち来て、かがんで」

「へ?」

「いいから」



言われるままにかがむと、桃城の頭がふわっとタオルに包まれた。

目をつぶると、太陽とせっけんの匂いがした。



「ったく、世話がやけるっすね」

「くくっ。わりぃなあv」



桃城は目をつぶりながら、大人しくしていたが、

しばらくして起き上がり、タオルを取り上げた。



「おまえも拭いてやろっか」

「もう自分で拭いたって」

「あぁ〜なんだよ、つまんねぇ〜」

「桃先輩が拭けって言ったんじゃん」

「ははっ。バレた?」

「バレバレ」



クスっと笑って、空を見上げる。

灰色の雲は、まだ晴れる気配がない。

じとじとしたぬるい雨が降り続いてる。

ためいきをひとつ付いて、



「わっ。なにすんの」



邪魔なタオルを自分の首にかけ、越前をぎゅっと抱きしめる。



「はぁ。こんな天気じゃ何もできねぇよなぁ〜」

「ちょっと・・・暑いってば」

「雨降ってても寒ければさ、それを口実にくっついたりできんのにな」

「何言ってんの。口実なんかなくたってくっつくくせに」

「ははっ。バレた?」

「バレバレ」



嫌じゃないから対して抵抗もしない。

テニスもできなくて、ベタベタの雨で気持ち悪くて、

何もする気が起きないって言うのに、

誰も居ない教室っていうだけで、こんなにドキドキしてる。

ほんと、理屈じゃない。



「さーて、そろそろ、行くか」

「そうっすね・・・って何やってんすか」

「タオルかぶってんだよ。」

「あははっ!桃先輩似合いすぎっっ!っかしい〜・・っ」

「るせー。おまえもかぶれ!」



無理矢理桃城にタオルをかぶせられ、嫌々と抵抗するが、

力では到底勝てず、越前も桃城と同じような姿になる。



「くくっ。おまえだって似合いすぎじゃん。可愛いぜ、越前」

「嬉しくない!」

「よっし。帰るぞ〜!」

「はぁ・・・ぁ」



ぐいっと手を引っ張られ、手をつなぐ。

桃城は上機嫌で、越前は恥ずかしいのでうつむいて、帰り道を歩く。



「ん。どうした越前?」

「・・・・・・別に//」



二人でいれば、どんな日だってドキドキが止まらない。

少しくらい雨が降ったって、うざったい季節だって

二人でいれば、絶対楽しい。

でもやっぱり、どんな雨でも、お日様には叶わないから・・・



あ〜した天気にな〜れ!









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 □おまたせしました。
  望月つばさちゃんのリクで「梅雨桃リョ」でした〜!
  ひぃ〜大分遅れてしまいました。沖縄なんか梅雨明けてます(爆)
  うーむ。何が言いたいのか起承転結のない話になってしまいましたよ・・・
  しかもキスすらしてないぞ!?も、申し訳ないです。
  でもとりあえず、ネタ的にはとっても書いててツボな桃リョでした。
  素敵なリクをありがとうございました!!



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