目を丸くして 自分の発言を不思議がる桃先輩に何か喋ってもらおうと

黙っている桃先輩の名前をずっと呼び続けた。

そして 今



「・・・越、前・・・」

「・・・?」

「・・・越前」

「桃、先輩・・・?」

「おまえは・・・」



今までずっと呼びにくそうだった俺の名前をスラっと呼んだように聞こえた。



「・・・わがままで」

「えっ・・・」



その言葉に反応して 思わず体を離して桃先輩の顔を見上げる。

いま・・・



「・・・生意気で、チビで」



桃先輩・・・

・・・うそ



「喧嘩っぱやくて・・・」



思い出を読み返すようなような口ぶりで・・・

淡々と答えて
































「それでも、俺が大好きな恋人だよ、越前」











満面の笑みと共に 降り注いだ言葉に

笑うこともできず ただ涙が流れた。

悲し涙でも悔し涙でもない。

流したこともないような 生きてる中で一番の



嬉し涙・・・









「・・・桃先輩っ」



ぐしゃぐしゃになった顔のまま その名前を呼び続けながら

腕が痛くなるほど 強く強く抱きしめた。



「越前っ」



抱きしめられた腕は 痛いくらいで

それでもぎゅうっと強く強く 抱きしめていた。







「思い・・・出した、の・・・?」

「・・・あぁ。おまえのこと、全部、思い出したぜ・・・」



耳元でそう囁かれて 泣いてる俺をなだめる様に

背中を撫でてくれた。



「やっと・・・帰ってきた、ぜ」

「・・・っく、遅い・・・んだよ・・・馬鹿っ」



嬉しいのに素直になれない俺に ごめんな、と呟いて 今度は俺の頭を引き寄せる。

桃先輩の胸に顔を埋めると どんなに頑張っても我慢できなくて

なつかしくて・・・嬉しくて・・・

恥もなにもなくなって また大声で泣いた。



「あ〜ぁ、もう、そんなに泣くなって〜」



苦笑いしながら 背中を叩く桃先輩にしっかりしがみ付きながら

それでも涙は止まらないけど 早く桃先輩の顔が見たくて

袖で涙をぐいっと拭って 上を向く。



「夢じゃ・・・ないっすよ、ね」

「おう!夢じゃねぇよ・・・会いたかったぜ、越前」

「それは・・・っく、こっちの、セリフだってば」



今こうして話してることが 夢のようで

でももう 一生覚めてほしくない夢だから・・・

だから ずっと腕に力を入れたまま 離さなかった。





当たり前なことが こんなに嬉しいなんて

当たり前なことが こんなにすごいことなんて・・・

知らなかったよ・・・





「・・・大好き、桃先輩」

「俺も。大好きだぜ、越前」

「やっと。やっと、言えた・・・」

「そうだな。俺もやっと、おまえに会えた・・・」



ずっと伝えたかった気持ちと 一番聴きたかった言葉と

どうしようもなく幸せな気持ち。









そうだね。

やっと・・・やっと会えた。



俺を忘れていた桃先輩 俺がわからなかった桃先輩。

気持ちをぶちまけたり、泣いたり・・・辛かったけど、



もうそれは 遠い過去の話。





それが今さっきの出来事でも 俺にはもう、遠い遠い過去の話。

だって現実にはもう 桃先輩がいる。

大好きって言って 抱きしめて 俺の名前を呼んでくれる桃先輩がいる・・・































「ただいま、越前。」



「おかえり、桃先輩・・・。」









桃先輩は微笑んだ俺の顔をつたう涙を指で拭いてくれた。

泣きそうなくらいの幸せを感じて

俺たちは深い深いキスをした。





・・・おかえり、桃先輩

・・・大好きだよ・・・

































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□やっと完結いたしました。
 みいのサマのリクで『桃の記憶喪失→ハッピーエンド』でした。
 気づいたら6話という大作に・・・。
 無理は多々ありますが、目をつぶってくださると幸いです
 どんなに辛くても最後はやっぱりハッピーでなきゃ♪











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