携帯電話を買った。

母さんが 遅くなるときでも連絡できるようにって

女の子じゃないんだからさ…

みんな持ってるみたいだけど

遅くなっても桃先輩が送ってくれるし

電話する人なんていないし

桃先輩とは 電話の必要もないくらい一緒だし


「おっ 越前 携帯買ったのか!?」


ちらっと携帯の時計を覗いたのを 目ざとく桃先輩に見つけられた。


「まぁね」

「しかも新しく出たやつじゃん!」

「新しいやつなんだ これ」

「番号おしえろよ」

「やだ………とか言ったらどうする?」

「コノヤロウ…」


頭を軽く小突かれて 桃先輩も携帯を取り出す

桃先輩の携帯もブルー 俺の携帯もブルー

奈々子姉は シルバーにするかと思った って不思議がってた


「はいよ 登録完了」

「俺 やり方わかんないっすよ」

「あぁ 買ったばっかりだもんな やってやるから貸してみ」


慣れた手つきで 俺の携帯に番号を打ち込む


「はい 終了」


早。


「待ってろよ〜今日かけてやるから♪」

「なんか用でもあんの?」

「俺が越前の携帯で話す人第1号になるために!」

「アホらし」

「んだと〜!!」



電話より直接がいい

きっと電話じゃものたりない














そのよる

俺の携帯が初めて鳴った

誰かなんて考えるまでもないけど 一応画面を見て確認する

だけどその画面を見て 勢いよく電話に出た。


『イエ〜イ!通話第1……』

「桃先輩!!なにやってんすか!!!」

『そんな怒るなって ちょっとしたお茶目な演出だろ?』

「どこが!」


俺の携帯に表示された文字


   着信  ダーリンv


「…これ 登録した人の名前直せるんでしょ?」

『ん できねーよ』

「…………」

『うそうそ できるできる。説明書見ながら後でやってみ?』

「最悪…」

『いい練習になるだろ』

「正当化しないでよ」

『まぁまぁ』


とりあえず 直せるってところでほっとした

そのあと 部活のこととか 雑談をしながら思った

(桃先輩の声が違う)

遠くで聞こえてるような 機械に制御されたような

それだけじゃないけど

表情もわからないし 触れない

触ってるのは 耳につけた携帯の冷たい温度


『越前?聞いてんか?』

「あ。あぁ 聞いてるっすよ」

『疲れてんのか?』

「大丈夫っすよ」


こんなこと考えてばっかりじゃ 大丈夫じゃないかもね


『もうそろそろ遅いし そろそろ切るか』

「えっ」

『…ん?』

「別に なんでもない」

『そっか それじゃまた明日な』


そうだよね

どんな不満持ってても

ここから聞こえてくるのは桃先輩の声で

電話を切ったら 明日までサヨナラ

なんだかんだ思ってみて やっぱり 声が聞けるのはうれしい


『おやすみ 越前』

「おやすみ」

『…越前』

「なに」



『愛してるぜ』













ツー…ツー………

切れた









あーもう……バカ……///













バカ桃…

今度は俺が言ってやる

そのときは覚悟しててよね

今日は桃先輩の勝ち逃げってことにしといてあげる





携帯もなかなか使えるかもね?













おやすみ 桃先輩




またあした













 ---------------------------------------------------

 □なんだかラブい桃リョ
  王子は普段はそっけないけど 実はとっても
  さみしがりやさんです。
  ちゃんと桃はそのことも知ってますよ
 

back




















100MB無料ホームページ可愛いサーバロリポップClick Here!