「今日は俺が勝つんで」

「いい度胸してんじゃん」



テレビの前に座り ゲーム機の電源を入れる。

この前の対戦ゲームの続き。

慣れてたってこともあって 勝負は俺のストレート勝ち。

その結果 諦め切れず負けず嫌いの越前に再度対戦を挑まれた。

おやつをパクつきながらの俺と

画面にかじりついて一生懸命コントローラーを握る越前。

その微笑ましい姿をチラ見しつつ 攻撃を仕掛ける。



「ほらほら越前、逃げてても倒せねーぜ」

「うるさい 少しくらい黙ってれば?」

「あ。俺の勝ち」



越前の攻撃をひょいひょい避けながらちょっかいを出してる間に

あっさりと勝敗がついた。

笑って越前の顔を見ると ギッと睨まれた。

そんな表情もかわいいと思うなんて・・・俺も相当・・・だよな。



「もーいい・・・寝る」

「そんな拗ねんなってーもう1回やろーぜ!」

「やだ。結局桃先輩だけ楽しんでんじゃん」



コントローラーをぶん投げて席を立って 俺のベットに潜り込む。

まるで自分ん家みたいに扱ってるけど それはもう毎度のこと。

俺はそれが結構 嬉しかったりするんだけどな



って、そんなにやけてる場合じゃないか・・・

越前が拗ねてこうなったらもうどうしようもない。

無理矢理起こそうものなら 蹴りや鉄拳が飛んでくるのは毎度学んでいる。

俺が何かして機嫌ェよくなったことは そうそうあるもんじゃない。

ここは仕方なく 自分でおきてくるのを待つとするか。















布団が冷たい・・・

いつもは俺が一人で寝ることはないから

冷たいって思ったのは初めてだった。

一緒に寝る時はいつもあったかかった 桃先輩の布団。

桃先輩の匂いがする。安心する匂い。

でも冷たい・・・眠れない・・・

だからって今は一緒に寝る気にはなれない。



むかつく。



俺、寝てないのに。寒いのに。

さっきから俺に背中を向けて 今度は別のゲームやってる。

穴が開くほど背中を睨んでやっても 気づかない。

俺は桃先輩のこと考えてるのに 桃先輩はゲームのことしか頭にない。



それってかなり むかつく・・・



むくっと起き上がって 少し眠たかった目をこする。

それでも桃先輩は気づかない。

足音がしないようにこっそり桃先輩に近づく。

背中の目の前まで来て・・・・・・どうしてやろうか。

少し考えて  



「わっ!」



耳元で大声を出して 後ろからどんっと背中を叩いてやった。



「おわっ!?!な、なんだよ越前、起きてたのか?!」



気づかないあんたが悪い。

でも むかつく。ゲームはやめない。

顔を半分こっちに向けながらも 視線は完全にテレビ画面。



「ねぇ、いつまでやってる気?」

「待てって。もうちょっとでセーブポイント」



ねぇ、俺 そんなに気長くないんだけど。

桃先輩の前まで移動して 向かい合わせに座ってやる。

邪魔だろうが関係ない 全部桃先輩が悪い。



「お、おい 越前」

「バツゲーム、このまま1時間座椅子」

「・・・前 見えねぇって」

「そんなの知らない」



ザマーミロ。

ため息をついた桃先輩は 俺を軽く抱きしめた状態で

かたかたとコントローラーを動かす。

その微弱な振動と 桃先輩から伝わる体温が

さっき消えたはずの眠気を呼び起こす。



ねむい あったかい・・・・・・きもちい・・・

















俺がセーブし終わった時には 文句たらたらだった越前も静かになっていた。



かわいい顔しやがって・・・



すぅすぅと小さな寝息が聞こえる。

座椅子って言ってたけど、座椅子って向かい合わせには座らないよな?

すぐ近くにある無防備な寝顔を見ながら 思わず微笑んだ。



「越前、終わったぞ」



耳元でささやいてやっても 起きない。

気持ちよさそうに眠っている。さっきまであんなに拗ねてたのに。

その頬にキスをする。



「ほら、越前 遊ぼうぜ?」



ぽんぽんと背中を叩くと うっすらと瞳を開け

もぞもぞ動きながら俺の首に腕を回して抱きついてきた。



「おはよ 越前」



さらさらの髪の毛を撫でてやると 返事もしないまままた目をつぶった。



「・・・まだ経ってない」

「へ?」

「1時間」





罰ゲーム・・・ね

ってか、この状態は罰ゲームってよりは・・・

ご褒美に近いんですけど?

そんなことを思いながら こいつのかわいい言動に頬を緩ませてると

いきなり頬に触れるだけのキスをされた。

やさしく微笑まれて 自然と俺の手が越前の顔を両手で包む・・・



「言っとくけど、桃先輩は何もできないからね」



その発言に 越前に近づいていた俺の動きがピタリと止まる。

越前がにっこり笑う。



「言ったでしょ バツゲーム」



そう言って今度は唇にキスされる。

俺は・・・なにもできないわけ・・・?

何もできないってことは・・・











生殺し・・・・・・ってヤツ・・・













クスクスと笑う俺と 少し顔を赤くして

桃先輩はさっきよりさらに深いため息をついた。

だから言ったでしょ、バツゲームだって。





やっぱり、最後の勝負は俺が勝たないとね。

















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 □生殺しちゅーよりは半殺しに近い所業かと思われます。
  と、いうことで、かおりサマ リクエストの
  『桃ちゃんの家でラブラブしてる桃リョ』でした。
  ラブラブ具合はこんな感じでどうでしょう?
  え、と・・・桃リョというよりは、最後はちょっとリョ桃チック
  になってしまって・・・(謝罪)
  こんなんですが受け取ってやってください。












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