「おチビ、これどうしたの?」

制服に着替えている途中に 菊丸に呼び止められた。
指をさす先はリョーマの鎖骨のバンソウコウ。
リョーマは平然とした顔で、見えなくなる位置までボタンをひとつとめた。

「…ケガしたんすよ」
「どーやったらそんなとこケガすんのさ」
「…カルピンにひっかかれたんすよ」
「おチビの猫 凶暴〜」
「ちょうど今 発情期なんすよね」
「へぇ!オスだったんだ〜!」

にやっと笑って言ってみても 英二は気がつかない。
ちぇ こうゆう反応ってなんか拍子抜けだよね

「その猫も、わざわざ見えるところにつけなくてもいいのにね?」

不二先輩の…声……いつのまに。
にこにこ笑いながらも その笑顔には迫力がある。
すべて会話を聞かれていたらしい。
よりにもよってこんな会話…一番からんできそうな相手に…
なんとなくわかってるみたいだし

「それって、猫ってゆーか狼、だよね 越前?」
「なんのことっすか」
「ウソついても無駄だよ」
「にゃに!おチビ狼飼ってるの!?」
「んなもん飼ってないっすよ」
「じゃあにゃに?本当はメスだったの?!」
「だからオス猫っすよ」
「なんだよぉ、不二〜!あってるじゃん!」
「あのねぇ、英二…」

鈍い英二に手招きをして 耳元でコソコソ話す。
不二の話を一部始終聞いて 英二がポンっと手を打つ。

「そうゆうことかぁ おチビぃ〜!」
「越前、観念しようよ」
「だから、なんなんすか」
「強情なんだから。それじゃ、代理人に白状してもらいますか」
「ますかっ♪」

と、言いながら不二と英二は、着替え終わり
他の部員と話をしている桃城を引っ張り込んできた。

「さぁ桃、これどう説明してくれるの?」
「くれるの?」

いきなりリョーマの前に突き出され、桃城は驚きながら首をかしげる。
菊丸はリョーマのバンソウコウを指しながら言った。

「これ桃がつけたんでしょ〜!」
「へ、俺?」
「桃がキスマーク付けたんでしょ」
「付けたんでしょ!」
「だから違うって言ってるじゃないっすか」
「それって朝言ってた カルピンに引っかかれたって傷だろ?」
「俺さっきからそう言ってるんすけど、信じてくれないんすよ…」
「桃、白状しないと 越前脱がせちゃうよ?」

不二がくすっと笑うと 途端に桃城は守るようにリョーマをぐいっと抱き寄せた。

「絶っ対だめっす!!」
「それなら 証拠見せてよ」
「見せてよ♪」

じわじわとにじみ寄る不二と菊丸に危険を察知し、
リョーマはため息混じりに言った。

「しょうがないっすね…」

しぶしぶとバンソウコウをゆっくりはがし始める。
その下の肌が少しずつ見え始める。 「「あ……」」






二人が見たものは 明らかに引っかき傷だと思われる斜めの赤い傷跡
それはどう見ても キスマークとは遠い存在
事実それはリョーマが朝 カルピンに引っかかれた傷だった。

「…なーんだ、つまんないのぉ」
「本当にキズだったんだ…」
「珍しいにゃ〜不二の予想が外れるなんて」
「おかしいなぁ」
「残念でした〜それじゃ俺らそろそろ帰るんで、お先ッス!」

ちょうどいいおもちゃに逃げられて、おもしろくない菊丸と不二に対し、
桃城はにししっと笑いながら 歩き出す。
リョーマもそれにくっついて そそくさと歩き始めた。









「なぁ、越前 ちょっと打ってかね?」
「いいっすよ」

リョーマの家の前まで来て 桃城が寺のコートへ視線を移す。
コートへ移動し、制服を脱いで、再び着替え始めたリョーマを見ながら
桃城はリョーマのキズを指差す。

「それにしてもコレ、どうなって引っかかれたんだ?」
「ああ、これっすか?朝カル捕まえようとしたら 爪立てられたんすよ」
「へぇ…」

シャツの間から見えているリョーマの鎖骨のキズから
視線を少し右の方へ移す

「それにしても…」

桃城はリョーマのシャツの右裾の部分を折り返す。

「こっち 見つからなくてよかったな」

リョーマの鎖骨の右の方には くっきりと赤い跡がついていた。
これは昨日の夜 桃先輩が残した跡
見えないところって言ったのに ギリギリのとこにつけて
俺が怒って少しケンカした。

「だから言ったのに…」
「結果オーライだろ」
「全然消えないし…」
「あったりまえだろ 消えないようにつけたんだからな」
「…サイアク」
「ほら!打つぞ!日が暮れちまう」

背中を叩かれて、コートに行こうとする桃先輩のシャツをぐいっとめくり上げる。
桃先輩が立ち止まったところで 俺が昨日桃先輩に残した跡を数えてみる。
…いち、に、さん、し、ご…………ん、まぁ…たくさん…
でも俺は見えるところにはつけてない ちゃんと見えないとこにつけた

「首筋辺りについてたら すごい言われたんだろうけどな」

楽しそうに笑って まるでひとごと
油断したその瞬間 桃先輩をぐいっと引き寄せ
首筋辺りにちゅうっと吸い付いた。

「ば、ばかっ!何やってんだよ!」
「からかわれるの、今度は桃先輩の番」

にやっと笑うと 桃先輩は慌てて俺がキスした跡を確かめる。
無駄だって。『消えないようにつけたんだから』ね。

「俺の番っておまえ…見つかったらおまえだってからかわれるぞ?」
「…………あ」
「越前バカ」
「うるさい!」

……誤算。
でも、そんなの開き直ってやる
からかわれるなら からかいたくなくなるくらいもっともっと見せ付けてやる
そんなくだらない たわいない会話も 

俺には幸せなことだから…







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 □初キリリクSS。
  poporoサマの『桃リョ甘甘+他キャラ』でした。
  こんな感じでよろしいでしょうか(汗)
  文章が微妙に変でスミマセン。
  でも、ネタ的には少しお気に入りかも









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