残暑の薫る日差しの中、部活も休憩時間になり、桃城とリョーマは日陰を求め、部室の裏側へ回った。 ここなら日陰で水道も近いし、風の通り道でもあるこの場所は、休憩にとってはもってこいの場所だ。 学生のうるさい話し声も笑い声も遠く、緑が風にさらされる音だけだ。 座りながら、パタパタと手で暑そうにあおぐリョーマを桃城はちらりと横目で見る。 「帽子はずせば?」 「やだ」 いつもはずさないお気に入りの帽子をどうにか取ってやろうと、 不意打ちを装って、桃城はリョーマの帽子に手をかけるが、それはことごとく阻止される。 「別にここなら日は照ってないだろ」 「それでも外さない」 「そのうち、むれてはげるぞ?」 「毎日必死で髪立ててる人よりはマシだと思うけど」 「・・・ああ言えばこう言うよな、オマエは」 「フン」 リョーマが不意に目を閉じた隙を狙って、再び桃城は帽子に手を伸ばすが、 リョーマは、その動きを見切り、桃城の腕をしっかりつかんだ。 満足そうに笑うリョーマに桃城は表情を曇らす。 「だぁぁっ!もう、はずせってば!!」 「だから、やだって」 必死で帽子を取ろうとするその理由はただひとつ。 「つばが邪魔でキスできねぇんだよ!」 「知ってる桃先輩?この帽子の2つの使い道」 「・・・なんだよ」 すっかりリョーマのペースにはまって面白くない桃城を前に、 リョーマは自分の頭上の帽子を指しながらくすっと笑った。 「日差し避け、兼、桃先輩避け」 「・・・わかった、そうゆうことか!」 「なにが」 「帽子と防止をかけてるわけだな!」 「・・・アンタ、俺のなにを聞いてたわけ?」 「なんでもいいから帽子とれ!キスくらいさせろ!!」 「うわっ!ちょ・・バカッ!」 桃城がリョーマにつかみかかった勢いでバランスが崩れ、 どさっとリョーマは桃城の下敷きになった。 「桃先輩・・重・・・」 「越前〜覚悟しろよv」 倒れた衝撃でリョーマの帽子がはずれ、桃城がにやりと笑った。 そして、大人しくなったリョーマに桃城が顔を近づけた瞬間、桃城優勢になったかに見えたが、 その時偶然通りかかった第三者があげた声で 形成はまたリョーマに逆転するのだった。 「うぎゃぁぁあ!!おチビが桃に襲われてる〜〜〜!!!」 「・・・その帽子いつかおまえ自身にはずさせてやるからな」 「クス。期待してるっすよ」 リョーマは桃城の挑戦状に余裕の笑みを浮かべ、 フェンスの外で渋い顔をしている部長を横目で見送りながら、 深々と帽子をかぶりなおした。 ----------------------------------------------------- □桃城はリョーマに飢えてるかんじで。 リョーマはそれを楽しんでるかんじで(黒) ちゃんと両想いですがね。 |