なんでかなぁ。 人のものって欲しくなるこの心理。 今日はどうしても食べたかった、テリヤキ。 「じゃあ俺もテリヤキにすっかなぁ」 桃先輩も同じバーガーを注文する。 マヨネーズを口端につけて、桃先輩はおいしそうにかぶりつく。 かさっと包みを開けたと思ったら、一瞬でぺろり。 残りのバーガーに手を伸ばし、またかぶりつく。 自分が食べることも忘れて、どうしてもそっちに目が向いてしまう。 桃先輩の食いっぷり。 「(うまそうに食べんだよなぁ・・・)」 ボーっと見てる間に、指にたれてきたテリヤキソースをぺろっと舐め、 それを一口だけかじって、桃先輩に差し出す。 「どうした。食うの遅いじゃん」 「交換してよ」 「へ?」 「いいから」 バーガーを差し出し、 桃先輩が半分食べたバーガーを要求した。 「交換って、おまえもテリヤキだろ?」 「俺は、こっちのがいい」 指差したバーガーを受け取る。 桃先輩は不思議そうな顔で、それを俺に手渡した。 ぱくっとかじりつく。 おいしい・・・けど同じ味。 「おまえ一口しか食ってねーじゃん」 「いいよ別に」 交換して、桃先輩もまたバーガーを食べ始める。 おっかしいなぁ。 絶対こっちのがおいしいと思っただけどな。 って・・・そんなわけないけど。 そんなことを思いながら、残っていたバーガーをたいらげる。 その後、俺が見つめてるにも気づいてない様子で、 桃先輩は夢中でバーガーを食べ続ける。 ったく。食べるの大好きなんだから・・(いろんな意味で) 「ぁ?なぁに笑ってんだ、越前」 「ソースついてる」 「ん。」 「反対」 「こっちか」 「・・・そこじゃない」 立ち上がって、桃先輩の口についていたソースを指ですくい取った。 周りに人いなくて、席がもっと近けりゃ舐めてやるとこだけど。 指のソースをペロっと舐め、頬づえをつく。 「サンキュ、越前」 不意打ちで食らった満面の笑み。 ・・・反則、ってこうゆうのを言うのか。 確信犯だったら殴ってやるとこだけど、どうやらこれは素らしい。 素だから曲者なんだ。 「うまそうに食いますよね、桃先輩って」 「そりゃうまいもん食ってるしな!」 「・・・桃先輩ってよく俺に可愛いって言うけど、人のこと言えないよね」 「なんの話だ?」 桃先輩は食べる喋るを器用に繰り返す。 あーあ。また同じとこにソースついてる。 「なに笑ってんだよ」 「別に?」 「それよりおまえ、ほんとにそれだけで腹減ってねぇのか?」 「別に食わなくたって、腹は膨れるんすよ」 「だからなんの話だよ」 「さぁ?」 「わけわかんねぇ・・・」 自分の食が止まってしまうくらい、桃先輩から目が離せないことはまだ秘密。 頬づえをつきながら余裕な振りして、でもいつも振り回されてるのは俺。 悔しいけど、それでも好き。 余裕な振りもできないくらい、俺を夢中にさせてみなよ。 そして俺は、意地悪な笑みを浮かべながら、再び口元のソースを拭いに桃先輩に手を伸ばす。 ---------------------------------------------------- □おぉ。リョ桃っぽい。 てかリョマさん桃先輩好きすぎ。桃が受けっぽい(笑) |