いつも突然 ケンカは始まる。

どうでもいいようなくだらないことだけど 今は譲れない真剣勝負。



「越前狭い。もっとそっち寄れ」

「桃先輩が場所とってるんじゃないっすか、邪魔」

「おい、蹴るなよ!」

「邪魔だって言ってんじゃん」

「俺のベットだぞっ!」



ベットの上でのスペース接戦

俺は漫画 桃先輩は雑誌

寝っ転がりながら読むにはもってこいの場所だ。

それを二人なんかで占領したら狭くて仕方ない。

身をよじりながら 押し合いへし合い



「桃先輩 明らかに半分以上とってるじゃないっすか!」

「うるせい!おまえみたく体ちっちゃくねぇんだよ」

「・・・ケンカ売ってんの?」

「ほぉ、買ってやろうじゃん・・・」



勝てる自信があるのか 余裕の笑みが妙に気に障る。

桃先輩がちらっと雑誌に目を落とした隙に 体重をかけてぐいっと掴みかかる。

そのままバランスを崩して 一緒にどさっと倒れる。



「ってぇえ!・・・テんメェ、頭ぶつけただろ!」

「フン。自業自得だね」

「・・・コノヤロ」



桃先輩の上に乗っかって 鼻で笑ったら

両手でがしっと胸倉をつかまれて 引き寄せられて

今度は逆に 俺が押し倒された。

幸いに倒れた 先には枕があったから 頭はぶつけずにすんだけど。



「ちょっ なにすんの馬鹿!!」

「るせーっ!おまえこそいきなり襲い掛かるな!」

「桃先輩こそ いきなり押し倒さないでよ!」

「仕返しだ 仕返し!」

「そもそも 桃先輩が場所とりすぎなのが悪い!」

「おまえなぁ、人んちまで来て 少しは遠慮しろ!」

「うるさい!耳元で叫ぶな バカ頭」

「んだと 生意気チビ!」



耳を引っ張ったり ほっぺたつねったり 髪の毛つかんだりしながら

取っ組み合いのケンカが始まった。

こんなところでも お互い負けず嫌いが発揮されて

引っ張り合いながら どっちも譲らない。



「馬鹿力!クソ力!」

「遅刻魔!ネコ目!」

「だーっ!もううるさいってば!!」



文句を言いながら迫ってくる桃先輩を突っ返した。



「なんだ もうおしまいか〜?」



テニスは身長でするもんじゃないけど こうゆう時ってちょっと悔しい。

身長も 肩幅も 腕も 手のひらも 力も 全然かなわないや・・・

俺もいつかは 大きくなれるのかな。









「って・・・なにやってんの」

「んー 越前ぼーっとしてるから」

「ちょ・・・くすぐったい」

「いいじゃん 減るもんじゃねぇんだし」

「桃先輩、オヤジ入ってる」

「ほっとけ」

「あはっ。ちょっ くすぐったいってば!」

「へぇ。おまえココ弱いんだ〜」



にやりと笑うと 逃げようとする俺の腕を引っ張って 抱きしめられた。

腕を回されて 背中やらわき腹をくすぐられる。



「や。離してってば あはっ!くすぐったいって言っ・あははっ!」

「ぷぷっ。おもしれ〜v」

「・・・はぁ・・・はぁ・・・桃、先輩・・・やめてって、言ってるでしょ・・・」

「越前、笑いすぎv」



くすぐったくて暴れてみても 桃先輩の腕の中では それは全然通用しなくて

楽しそうに満面の笑みを見ながら思う。

やっぱり悔しい。



「ちょっ・・・そこもヤダ!」

「なに 首もだめなのか?」



わざと耳に息を吹きかけるようにして 首元に手を添えられる。



「やっ くすぐったいってばっ!」

「どうだ!負けを認めれば離してやるv」

「わかったわかった 認めるからっ」



この際勝敗なんかどうでもよくて とりあえずこの笑い地獄から抜け出したかった。

手を離してもらった後 深呼吸して荒げていた呼吸を整える。

息が整ったところで ふと考える。



あれ・・・俺たちケンカしてなかったっけ・・・



「ふぃ〜おもしろかった♪また遊ばせてくれよ!」

「絶対ヤ・だ・!」

「はは!」

「あーあ。笑いすぎて疲れた。眠い」

「ったく、おまえすぐ眠くなるのなぁ」

「いいじゃん 別に」

「じゃあせっかくだし 俺も一緒に寝るかな〜」

「なにが『じゃあ』だよ・・・」

「まぁまぁ 細かいことは気にすんなっ」



ずっとふかふかしてるところでじゃれあってたから それのせいかもしれない。

布団をめくって潜り込む。そこへ桃先輩が入ってくる。

ちょっとまって



「これってさっきの展開と同じじゃないっすか?」

「じゃあ今度は仲良く一緒に寝ようぜっ」



とか言ってても、シングルベットに二人寝るというのはかなり狭い。

お互いもぞもぞ動きながら潜ろうとしても やっぱり布団からはみ出る。

うわ・・・落ちそう・・・

そんなことを思ってたら ぐいっと腰を引き寄せられた。



「これで落ちないよな?」

「そうっすね・・・//」



ぴったり桃先輩にくっつけば なんとか布団に収まる。

桃先輩の鼓動が聞こえる こんなに近くで。

息づかいがする 桃先輩の匂いがする。

いつのまにかぎゅっと握られた手から 体温が伝わる。

あったかいな・・・



「な、越前。おやすみのキスしよv」

「え・・・////」

「コイビトの常識だろっ」



まだ昼間だから・・・っていいわけ通用しそうにない。

あきらめて 素直にゆっくり目を閉じた。





チュv





軽く唇にキスをされて 離される。

ただ触れられただけのそれは あっという間の一瞬の出来事で

期待してたものと違うものだった。



「桃先輩」

「ん?」



寝ようと目をつぶった桃先輩の唇を 今度は俺からふさぐ。



「んっ・・・」



頬を両手で包んでたっぷりキスを味わって

もう1回軽くキスをしてから唇を離す。



「これくらいしてもらわないと割に合わないからね」



クスっと笑うと ぐりぐりと頭をなでられた。



「コノヤロ〜!かわいいことしやがってvv」

「ほら、落ちちゃうんだから ちゃんとくっついててよ」

「へいへいv」



冷たかった布団も ぎゅって抱きしめあえば あったかかった。

俺は桃先輩の胸に顔を埋めながら すぅすぅと寝息を立てた。





くだらないケンカも じゃれあうような取っ組み合いも

最後にはこうやって いつのまにか仲直り。

これが俺たちの日常。






















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□ひさびさSS。
 テーマはコイビトなんだけど友達的なノリのラブラブな桃リョです(長)
 結局ケンカして仲直りがテーマになってしまいましたが これはこれで・・・
 桃リョはこう、自然体でいてくれるのが見てて一番ほのぼのしますね。
 あぁ、最近私は癒し系桃リョを求めているのかも。

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