「テストもないのになにマジメぶってんの?」



出されたジュースを飲みながら 何気に開いた英語の教科書

それは やりたくもない明日の小テストに向けて

いつもだったら予習なんかやらねぇんだけどな



「しょうがねぇだろ、満点じゃなきゃ居残りっつーんだから」

「家帰ってからやればいいじゃん」

「家帰ったら疲れて寝ちまうだろ、もう俺くったくたなんだよ」

「居残りやなら寝ないでやれば?」

「コノヤロウ・・・」

「ったく、こんな英語くらいできてよね」

「るせ。苦手なんだから仕方ねぇだろ」



いきなり勉強しだした俺に 越前もご機嫌斜めのようだ

はぁ、もうサイアクだな・・・



「しょうがないから教えてあげるよ」

「遠慮しとく。また文句言われるから」

「言わないから。早く終わらすよ!で、どこ?」



少し怒り口調で、俺に体をぎゅっと寄せる。

ったく、ナマイキなんだか、かわいいんだか



「桃先輩これ、単語抜けてる」

「あ、ほんとだ」

「主語忘れるなんて致命的だね」

「おっ!主語なんて難しい言葉よく知ってたな」

「殴るよ?」



消しゴムで消して書き足して そして越前の監視の中、問題を進めていく。

ふたたび 呆れ顔の越前に指摘される。



「桃先輩、また違ってる」

「へ?今度はちゃんと主語入れたぜ」

「そこじゃなくてこっち。スペルミス」



細かく指摘されながら書いては消し 書いては消し



「・・・アイが足りない」

「はっ!?」

「ここ!アイが足りないんだってば」



あ・・・あぁ、そうゆうこと。

って俺今英語やってるんだもんな

なんだよ、アイって英語の方ね

越前のその言葉がつぶやくようにして聞こえたから 少し驚いた







・・・いーこと思いついた

にやけたのに気づかれないように、シャーペンを走らせる。



「だから、アイが足りないてっば」

「へいへい」



ぷぷっ。ちょっとこれ おもしろいかも。



「さっきも言ったでしょ。アイが足りないの」

「お、サンキュ」



ヤベぇ、これ クセになりそう・・・



「こんだけ間違えといて、笑ってる場合じゃないんじゃない?」

「そうだなっ」

「ねぇ、なにが楽しいの?」

「ん、いや、別に?」



抑えきれない笑みがこぼれる。越前はなんのことだかわかってねぇみたいだし。

はぁ・・・かわいいなぁ こいつ

でもそれを何回も繰り返してやっていると

越前の眉間にしわが寄り かわいい口もへの字。

そろそろヤバいと思って コレで最後、とわざと間違えた答えに越前は・・・



「だから!アイが足りないんだってば!!」



むきになって 耳を塞ぐような大声を出した。

それに驚いたのはもちろん俺と









・・・おぼんにドーナツを乗せて立っている奈々子さん。

なんでいつも都合よくいるかなぁ・・・

奈々子さんは最初少し驚いたような顔をして にこにこ笑いながら

おぼんをテーブルの上に置いた。



「そんな声出さなくても、桃城さんならわかってくれるわよ。」



がんばってvと笑顔で小さく告げられて、

パタパタと小走りで階段を下りていく音が聞こえた。

越前はその言葉に首をかしげ、そして目を丸くして 見る見る顔を赤く染めた。



「わあっ//!!違うっ!!そうゆうんじゃなくてっ!!あれはっ//」

「わかったわかった、越前落ち着けって わかってるから」

「だって桃先輩がIばっかり間違えるから悪・・・・・・ねぇ、」



ぴたりと大人しくなって そして苦笑いする俺を上目遣いでじとっと睨む。



「ワザとやってたの・・・?」

「ご、ごめんな」

「ファンタ1週間」

「・・・ハイ」

「でも・・・」

「ん なんだ?」





「・・・愛が足りないのも本当だから」

「え・・・・・・」

「・・・今日だっていきなり英語やり始めるし・・・」



少し悲しそうにうつむいて つぶやく

そうだよな、せっかくおまえん家来てるのに



「だから・・・満足させてくれたら ファンタはチャラにしてあげてもいいよ」

「そんなこと言って、おまえ1週間ファンタなしで口寂しくないのか?」

「俺が口寂しくならないように 桃先輩が頑張ってくれればいいだけの話でしょ」

「了解」



クスクス笑って 笑顔になって ようやくゴキゲンを取り戻せたみたいだ

越前を持ち上げて、ひざの上に向かい合わせに座らせる。



そして 愛のたっぷりこもったキスを送った。



あふれるくらい愛してやるから

覚悟しろよ?

















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 □奈々子さんデバガメです。いけませんよ、覗きは。(タテマエ)
  私も仲間に入れて。(本音)
  LOVE合戦と似てますが、こっちの方が最後はハッピーエンドです。
  勉強シリーズは崩しがいがあっていいですね。
  ちなみに、桃城は次の日の小テストでIを抜かして書いてしまって、
  居残りででした。それが桃城です。

  望月つばささんにイラスト化していただきました!

素敵絵はコチラ




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