「越前て、ほんとファンタ好きだよな」



最初は少し苦手だった

初めて一緒に帰って 入部祝いにオゴってもらった。

初めて飲んだ ファンタのグレープ味

口の中に広がる甘さと 飲んだ後に喉がチクチクする。

会ったばかりのころは 俺でも少し遠慮してて

苦手だとも言えず 笑顔で渡される缶を受け取っていた。

それが のどを通るジリジリがいつの間にか心地よく感じていた。

それは桃先輩のせいなんだよ?

公園の白い木のベンチにふたりで座ると 隣から視線を感じる。



「なに?」

「炭酸飲料よくそんなゴクゴク飲めるよな」

「慣れたっすから」



テニスして ハンバーガー食べて 物足りなくて 公園寄って

1つだけある自販機には 新商品が出てるのにも関わらず

いつもグレープ味が置いてあって

桃先輩は当然のように俺に買ってきてくれる

それから無意識に 飲むようになって

公園でもコンビニでも



「いっつもグレープ味ばっかりだよな。なぁ、なんで?」

「……………。」



いつもはそんな話題振らないくせに

本当にわかってないのか 理由を俺に言わせたいのか

だから答えられなくなる

でも わかってててもわかってなくても 答えられる言葉は一つ



「…好きだからっすよ」



ふーん とすまし顔でベンチに寄りかかる。

なんか ムカつく

まるで俺が 桃先輩のこと好きって言ってるみたいで。言ってないけど。

そんな涼しい顔で返されて

ぐいっと多めにファンタを流し込む

勢いをつけすぎて 喉につっかえた。

背中を丸めて咳き込んでると 桃先輩が俺の背中をぽんぽん叩いてくれた。



「大丈夫か?」

「けほっ…平気っす…」



息を落ち着かせて 残りはゆっくり飲む

初めてもらった 桃先輩からのプレゼント

今は心地いい 甘い味

好きな理由なんてまだ 言ってやらない

理由を言わせたくなるほど 俺を夢中にしてくれたら

思わず言っちゃうかもしれない

他の人でも 誰でもない







桃先輩がくれたから 好きなんだよ









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 □乙女バンザ〜イ!(爆死)とっさの思いつきネタです。
  あーもうだめだね。王子は桃にベタ惚れだね。
  あ。新年初SSだ〜♪今回はグレープネタですが、
  今度はホワイトピーチネタもイイかと…(笑)

 


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