桃先輩と 自転車と 俺と

二人そろって 自転車がひとつあって

俺 専属の運転手と

ちょっとゼイタクでしょ?

いつもより高い視線で見る世界は 大きい大きい世界で

頬をつたう風と 手のひらから感じる桃先輩の温度を感じながら



どこまでも飛べる



「寒い日は 星がキレイなんだってよ!」

「ふーん」

「今日一番の冷え込みらしいぜ!」

「なにが言いたいの」

「へへっ 星見に寄り道してかね?」

「へぇ 意外にロマンチストなんスね」

「意外は余計だ」



寄り道はいつものこと

それでも夜の寒さは身にしみて 鼻も指先も赤く染まって

だけど 帰りたいなんて 言わなかった

テニスだけじゃ 物足りない

あっという間に過ぎてく時間が もどかしい



「この先の丘がな 絶景なんだぜ〜!」



いつもの桃先輩と 自転車で

いつもと違う道

俺の家も 桃先輩んちも通り越えて

するする道を突き進んで たどり着いた先は

芝生の小丘 

自転車を跳び降りて ひとまず大きく深呼吸

桃先輩はスタンドを立てて 坂の部分に寝っ転がる

俺もまねして 隣に横になる



空がきれい


星がきれい


月がきれい



「きれいだな」



「そうっすね」



しばらく無言のまま 動かない夜空を見上げて

吸い込まれそうになりながら こぼれそうな光を見つめた

ちらっと横を見ると 桃先輩

気持ちよさそうに大の字に寝っ転がって 星を見つめてる













手が冷たい

吐息も凍る

手をすり合わせて息を吐きかけて 澄んだ空気に白い息が吸い込まれていく

それを何回か繰り返していると 桃先輩が横転で俺の隣にぴたっとくっついてきた



「なぁなぁ越前 あっためてやろーか?」

「……それが目的?」

「ちょっとだけ な」



すっきり晴れた月明かりで 桃先輩の悪戯そうな笑顔が半分照らす出される



単純バカ



くすっと笑って 桃先輩の腕の中に入る

その途端 ほんのりあったかい

冷たくなった服に触れて 手に触れて



「ホッカイロみたいだな」

「どっちが」





空を見上げて



星空を眺めて



あっためあって



このままとろけそうで





「また 来ような」



「そっすね」





桃先輩と 自転車と 俺と

それだけあれば 何処へでも行ける

もっともっと走って走って

そうすれば



もっと遠くまで行ける













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□夜バージョンのFLYING BICYCLE〜♪(のつもり)
 最初思ったときFLYING BICYCLEってETのことかと思いましたよ(笑)
 いやほんとに。月の中に自転車乗ってる影のやつ。
 ETじゃなくて桃リョだったらウケません?(笑)
 それにしてもいいデスモモリョデュエットvv
 ずっと書きたいと思ってやっと書けました〜
 星きれいだなぁ と思ってFLYING BICYCLEとミックスしてみました



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