ずっとこのまま・・・



季節は夏から秋へと変わった。
昼は前みたいにすっごく暑いわけじゃないし、
朝や夕方、夜は本当に寒く感じるようになった。
まだ、衣替えになってないから制服は指定の白シャツ。
半そでと長そでの2種類あるケド、俺は寒がりだから最近は長そでを着ている。
だけど、今日は・・・・・・

『ごめんなさいね。洗濯したんだけど乾かなくって・・・』

って母さんに言われたから、仕方なく半そでを着ている。




「リョーマさん、先輩が迎えに来てくださったわよー」
「はーい」

桃先輩が迎えに来てるのに、待たせるのも悪いから・・・
そう思って、俺は玄関に置いてある俺のちょっと大きい上着を持って外へ出た。




「おっス!越前!!」
「うぃっス」
「お、今日は長そでじゃねぇのな。寒くないのか?」
「これあるから・・・・・・」

そう言って、桃先輩に上着を見せる。

「なら、いいんだけどよ・・・・・・へっくしゅっ!!」

・・・盛大なクシャミをする桃先輩を初めて見た気がする。

「桃先輩、風邪っスか?」
「あぁ・・・昨日からクシャミ止まんねぇし、寒気はするし、鼻水は出るしで大変っ・・・・・・っくしっ!!」

桃先輩は暑がりだから、いっつも半そで。
昨日だって、『さみーっ!!』って言いながらずっと半そでのままだったし。
そりゃ風邪ひくよ。

「じゃ、行こうぜ越前!チャリ乗ってれば暖かくなるっ・・・へ・・・っくしゅっ!!」

・・・・・・あぁ、もう見てらんない・・・・・・

「桃先輩、コレ着てて。」
「んあ゛?」

鼻水をかんでいる桃先輩の目の前に、俺の上着を突き出す。

「寒いんでしょ?チャリ乗って汗かいたら、風邪もっと悪化させるよ」
「越前・・・・・・お前優しいのなvv」
「べ、別に・・・あ、抱きつかないでよ、風邪うつるから」

今にも抱きついてきそうだったから、慌てて桃先輩を制止する。

「そんなぁ・・・・・・」
「風邪治してからね。ほらっ、早くしてよ。朝練遅刻するよ」
「へいへい」

俺は半そで、桃先輩は俺の上着を着て学校へ向かった。




朝練が終わって教室に行く途中、桃先輩が俺を呼び止めた。

「越前」
「何?」
「今日、お前の上着借りてていいか?寒気がひかねぇんだよ・・・へっくしっ!」

俺も寒いんだけど・・・・・・
ま、死ぬほど寒いわけじゃないからいいか。

「いいっスよ。鼻水くっつけないでくださいね」
「おいおい・・・とりあえず、サンキュっ越前vv」

俺の上着を着た桃先輩は、嬉しそうに走って行った。




授業中俺は寒くて震えていたケド、桃先輩が俺の服を着ていてくれるのは、正直嬉しかった。
今は、自分でも風邪をひいたんじゃないかと思うくらい寒気を感じ始めている。
幸い、今日は放課後に部活がない。
さっさと家に帰って、暖かい布団に入りたい。
そんなことを一日中考えていた。




授業も終わり、昇降口で靴を履いて外に出ると、桃先輩が俺のことを待っていてくれたみたいで手を振っている。

「おーい!!越前ーっ!!」
「恥ずかしいから止めてくださいよっ!!」
「いいじゃねぇか、別にvv ほら、帰るぞ」

そのまま手を引っ張られて、自転車が置いてある正門の傍まで行く。

「ちょっと待ってろよ。チャリ持ってくっから」
「うん・・・」




しばらくすると、桃先輩が戻ってきた。

「おまたせー!」
「ホント、遅いっスよ!」
「わりぃ、わりぃ・・・お、そうそう、コレ・・・」

俺の上着を脱ぐ桃先輩。

「もしかして、ずっと着てたの?」
「あぁ。おかげで暖かかったぜ、越前vv」
「へぇ・・・」

ん?ずっとって・・・今日、桃先輩のクラス体育の授業あったけど・・・

「体育のときも?」
「あ?あぁ。朝、お前にコレ借りてからずっとだぜ。それがどうかしたか?」
「/// べ、別に。・・・くしっ」
「越前!まさか、お前も風邪ひいたのかっ!?」
「桃先輩にずっとソレ貸してたから・・・・・・」
「じゃ、コレ早く着ろって!!」

そう言って、桃先輩は俺の後ろに立って上着を羽織らせる。

「・・・・・・あったかい」
「だろ?俺が暖めておいてやったからなっ」
「!?」

桃先輩は、急に俺の後ろから抱きついてきた。

「も、桃先輩っ!!!皆見てるよっっ!恥ずかしいって!!」
「お前、朝に風邪治ったらいいって言ったよな?」
「・・・って、もう治ったのっ!?」
「あぁ。越前の貸してくれた上着、暖かかったからな。それで、いいんだよな?」
「・・・・・・バカ ////」




口では反抗してみせるけど・・・本当は、桃先輩が後ろから抱きついているおかげでとっても暖かい。





―ずっとこのままでいたい―






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 □蒼城 煉にリクさせていただいた『あったまる桃リョ』でしたv
  ちょっぴり肌寒い季節ネタが読みたくてリクしちゃいました〜
  桃のぬくもりであったかジャージ+桃の抱きしめ攻撃なんて・・・!!!
  もう、こうゆうの大好物です!!
  ラブラブなほんわか桃リョをありがとうございましたv











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