いっそ、このまま・・・



Forever You -night-







「おう、桃城」

「あ、南次郎さん。こんばんわッス。すいません、こんな時間に」





リビングの明かりが付いていたので、桃城は家族に一言挨拶をしようと遠慮がちに顔を覗かせた。
そこにはソファーにだらしなく寝そべる南次郎だけがいた。





「今日は母さんは仕事、菜々姉は友達のトコだよ」





だからもういいじゃん、とリョーマは桃城の服の袖を引っ張ってしきりに自分の部屋へと促す。
それを何も言わず、目で軽くたしなめる桃城。


いつもリョーマの家に遊びに来ているとはいえ、
あと数時間で日付が変わるという非常識な時間に訪問してしまったのだ。
やはりここは、きちんと挨拶をしておかなければならない――
そんなことを気にするような家族じゃないとわかっていても――
それが桃城なりの礼儀であった。



でもリョーマは一刻も早く、桃城にこの場を立ち去って欲しかった。
それはリョーマが桃城と付き合いだし、彼が南次郎と話すようになってから、
嫌というほど経験してきたことがあるからだ。


それを知ってか知らずか――
おそらくはすべて確信犯だ――
南次郎はとても気持ちのいいとは言えない笑みを、二人に向けた。


「本当だぜ。…待ちくたびれたぞ」

「……え、どういうことですか?」





(き、来た…!!!)


南次郎の言葉に反応したのは、桃城だけではなかった。

ゾクリと、南次郎の笑いに悪寒を感じて、リョーマは桃城の服を掴んだ手に一層力を込めた。




「も、桃先輩早く…」




しかし、桃城は今度はリョーマの方を見ることもせずに、さりげなく拒否した。





「リョーマの奴、今日は何かえらく大事な日らしくてよぉ、朝から落ち着きがなくて」




「お、親父!」




「でも帰って来たら今にも泣きそうな顔してやがって」




「止めろよっ!!」




「ずーーっと部屋にこもってたんだぜ?」




「聞かないでよ、桃先輩っ!!」




「……絶対会いたかったんだろうなぁ、半年の記念日には」






――なんで知ってんの……

いい加減、眩暈がしそうだった。
だから、こうして桃城と南次郎を話させることをリョーマは極端に嫌がったのだ。

しかし全て事実である――それがまた、南次郎のタチの悪さだ――がために、
リョーマは何も言い返せないことが常だった。





なぜ、今日のことを南次郎が知っているのか…もうリョーマは突っ込まなかった。

あのニヤニヤと楽しそうにオモチャで遊んでいるような南次郎の気持ち悪い顔と、
心底嬉しそうに、そして満足そうにしている桃城を見たら…何も言えなかった。





□ ■ □ ■ □ ■





部屋に戻ってからも、リョーマはいたくご立腹だった。
こうして南次郎にからかわれるとわかっているのに、毎回同じ展開になっている。

プリプリと怒るリョーマを、桃城はただ苦笑して見ていた。





「ったく…あんな親父の話なんて聞くことないのに!!」

「いや、でも挨拶はしとかないとな」

「いいんだって、別に。そんなこと気にする家族じゃないんだから」


──特にあのバカ親父は…──と付け加えることも忘れない。








「でも越前の家族にはこれからもずっと、世話になるからさ。そういうとこはキチンとしときたいんだよ」









「……え?」





桃城がさらりと、当然のように言ったセリフにリョーマは目を見開いた。

そしてその大きな瞳に映った桃城は、真っ直ぐにリョーマを見つめ返す。




「今日は半年だけど、俺はこれからもずっと、ずっとずっと…越前と一緒にいたい」


「も、桃先輩…」





「離れたくねぇし、離したくねぇ」


「………っ…」





「…いっそ、このまま……──っ!!」





リョーマはそれ以上、桃城に言わせなかった。

自分の唇で桃城のそれを塞ぎ、彼が言おうとした言葉を、絡まる吐息と一緒に飲み込んだ。





“いっそ、このまま────”





桃城が言いたかったことは、きっと自分の望むことだと同じだと、リョーマにはわかっていた。



だから、もういい。
言葉じゃなくて、身体で、それを感じたい。
深く深く、刻み込んで欲しい。





息継ぎをするために離れた唇も、少しの酸素を取り入れたら、またすぐに重なる。

それを何度も繰り返し……身体も離すことなく、桃城はそのままリョーマを抱き上げた。





ベッドにリョーマをそっと横たえて、桃城がそれを跨ぐ。

先ほどからのキスで、リョーマの目は潤み、顔は朱を帯びている。
もうそれだけで、桃城はひどく煽られた。



「も、桃…先輩……」

「越前…?」





しかし、リョーマの様子がいつもと少し違う。
桃城の視線から逃れるように、顔を背けたままだ。





「どうしよ…なんか…緊張する…」

「え?」

「初めての時みたい……」

「越前……」





桃城は何も言えなかった。



ただ、リョーマが愛しくて。
その気持ちが溢れすぎて…言葉にすることなんて出来なかった。
この思いを表す言葉なんて、見つからなかった。



自分で言った通り、深呼吸をしながらもなお身体を震わせるリョーマ。
桃城は自分の腕の中に、それを閉じ込めた。

精一杯の、思いを伝えるために。



「桃先輩……全部、分かってる。俺も…一緒だから」

「越前…!!」





桃城はぶつけるように、唇を重ねた。
それでもすぐさま、リョーマは舌を絡ませて桃城に応える。




「あっ……ん…」




首筋を舌が這い、リョーマは甘い声を洩らしながらその愛撫に喉元をさらした。
桃城の手はリョーマ上着の中に入り込み、さらさらとした肌の感触を楽しむように撫で回す。





「ぁ!!…やぁ…ん…」




その手が胸の赤い突起を摘み上げた。
もう片方は、首から降りてきた唇で挟み込んでやる。

あっという間に熟れた赤い実を、桃城は飽きることなく弄り続けた。



リョーマの腰が揺れていることに気付いていたのに。




「ぁあ、桃…先輩……」

「ん?どうした?」

「ひゃうっ!!しゃべ…ちゃ…ダ、メぇ…」





桃城が喋ると、軽く歯が突起を刺激してリョーマに快感を与える。

しかし、もうそれ以上の快感を、リョーマは知っている。





「も…さわ、って…!」





いやいやをするように顔を振るリョーマ。

いつもの桃城だったら、もっと焦らして…もっと自分を欲しがるまで追い詰める。
しかし、今日はそんなことはしない。





初めての時みたいに緊張する──そういったリョーマは、やはりいつもより敏感で、
まだ大した愛撫を加えていないのにすでに涙を溢れさせている。




早く、気持ちよくさせてやりたい──




桃城はリョーマの上着と一緒に、下着ごとズボンを放り投げた。
自分も、着ていたTシャツを脱ぎ捨てた。

寒さに軽く震えたリョーマは、暖を求めるように桃城の身体に一度擦り付いて来た。



今までの愛撫だけで、リョーマのソコはすっかりと立ち上がり、ふるふると先走りを零していた。
…桃城の経験からいって、この状態だとリョーマはかなりツライ。




「一回イケよ、越前」




桃城は本人に聞こえるか聞こえないかの声で囁いたかと思うと、
その昂りをすっぽりと口に納めた。



「ぁああ!!…ぃや…っん…」




そして容赦なく、全体に唾液を絡ませて、根元を扱いてやる。

いきなり訪れた大きな快感に、リョーマはあっという間に限界まで上り詰めた。




「も…でるぅ……!!ぁあ…も、もせんぱ…」




自分の腰にある桃城の頭を、ソコに押さえつけるようにしてリョーマは何とか意識を保つ。


しかし、桃城はリョーマをイカせようと、裏筋を引っ掻くと同時に先端を吸い上げた。




「…っーーー!!」




一際艶を帯びた声を上げ、内腿を震わせながらリョーマは、桃城の口内に白濁を撒き散らした。

桃城は一滴も零さずに、それを嚥下する。




「…大丈夫か?」

「ん……だから…」

「わかってるよ」




桃城が、リョーマの蕾に舌を這わせる。

ちゅく…と淫らな水音がした。
リョーマが放った愛液で、すでにソコは濡れほそっていた。
唾液で慣らす必要はないと判断した桃城は、指を一本、ゆっくりと挿入した。



「ひ…ぁ!」



ソコはすんなり一本の指を飲み込んだ。
指を鉤形にして引っ掻いてみても、リョーマは甘い声を発するだけだ。

一旦、指を抜き去った。
それにすら敏感に快感を拾うリョーマに煽られながら、桃城は一気に指の数を増やした。




「っーー…ンぁああ!」




圧迫感に、リョーマがのけぞる。
それでも奥へ奥へと入ってくる指に、確実に感じて。


リョーマはたまらずに腰を揺らした。




「…越前、もう我慢できねぇ…」

「ん…いいよ、桃先輩…」




桃城は埋め込んでいた指を抜き、手早くベルトを外してジッパーを下げた。
そして、リョーマの細腰を抱えると、屈んで唇に軽いキスを落とした。



「手、背中に回せよ」




コクコクと必死で頷いて、リョーマは従った。




「も、きてっ…!!」





ぐちゅっ…!!
同時に、桃城は熱く猛った自身を全て、一気にリョーマのナカに突き込んだ。




「ひぁ…あああああ!!」




その衝撃に、リョーマから一際高い声が上がる。
それでも苦痛の色は全く感じられない。





「え、ちぜんっ…!」

「あ、熱い…桃先輩の…」

「お前のナカも…すげぇ、ぜ?」

「ぁあん…」





桃城が割り入った途端、リョーマの内壁はその侵入者を甘く絞り上げた。
もちろん、リョーマの意思とは関係なく。

身体が、すでに桃城を覚えたのだ。





初めてキスした時、リョーマは泣いた。── “夢みたい”と。
恥ずかしさで顔を真っ赤にしながら、心底幸せそうに笑っていた。


初めて体を繋げた時、リョーマは泣いた。──“ありがとう”と。
体中が痛い筈なのに、その腕で強く桃城を抱き締めて…。顔を見たら、やっぱり笑っていた。


桃城は、この日を一生忘れない…忘れられない、と思った。





「…んっ…は…あぁっ、ん、ぁあ…」




ナカを突き上げるリズムに合わせて、くちゅくちゅとリョーマから卑猥な音が鳴る。
小さいながらも立ち上がった先端からは、留まることなく白濁が溢れてくる。



「くっ…」


それを時々軽く擦ってやれば、桃城を咥え込む部分が、きゅん、と切なげに収縮する。




「ぁあ…あっ、っう…んん…ぁん!」




桃城の熱塊が、リョーマの前立腺を掠める。
リョーマは腕いっぱいで桃城に縋りつき、その動きに合わせて一生懸命に腰を振る。




「す…きっ!も、もせんぱい…好き!」




その腕に一層力が込められた。

肩に感じる、リョーマの涙。
それが快感からだけではないことは、痛いほどに桃城の心を切なくした。





あぁ、もう二度とこんな恋はしない──





桃城は更に激しく腰を打ち付け、揺さぶり、互いの快感を引き出す。

ぐちゃぐちゃに濡れたリョーマの昂りを、片手で扱き上げる。




「!!…ぁあっ…っ…も、う…イ……ク!」




リョーマにとっては、それが決定打だった。

桃城はグイ、とリョーマの腰を引き寄せて唇を合わせた。
そのせいで、融合が深くなり──桃城を迎え入れた内壁がヒクヒクと痙攣し出す。





「…ぁ、ああ!!も、もせんぱ…ーーーっ!!」



桃城とリョーマの腹に、白濁が散る。


桃城は、リョーマのナカに思いの全てをぶちまけた。





□ ■ □ ■ □ ■





「ねぇ、桃先輩」

「ん?」

「ずっと、一緒にいようね」

「あぁ」

「ずっと、ってどれくらい?」

「…お前が聞くなよ;;」

「ね、どれくらい?」

「…さぁな…わかんねぇ」

「何ソレ。わかんないくせに“ずっと一緒にいたい”とか言ったワケ?」

「お前もだろ」



「……俺は、桃先輩の側がいい。“永遠”なんてわかんないけど…
とにかく“ずっと”桃先輩と一緒にいたい。こうしてたい」

「じゃあ、俺もそれでいい。“ずっと”越前とキスして、抱き合ってたい」

「…えっちは?」

「言うまでもねーだろ?」

「…そうだよね…」





End




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 □遥弥さまからいただきました5000hit記念フリーSS第2弾でございました!!
  ひゃぁ〜v裏ですよ裏vv
  桃城はまだまだリョマにベタ惚れですね!
  そしてリョマも桃城にメロメロ!
  半年なんてまだまだ!ふたりの愛はこれからもずっとずっと続くことを祈って・・・v
  素敵SSありがとうございました!!
  そして5000hitおめでとうございます!!
  これからも遊びに行きますのでよろしくお願いします!











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